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越境ECブログ

米国デ・ミニミス・ルールは2027年7月1日に完全廃止!ドナルドの「大きな美しい法」で

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こんにちは。ジェイグラブの横川です。

すでに報道でご存知かとは思いますが、トランプ大統領が打ち出した「One Big Beautiful Bill(大きな美しい法)」が日本時間の7月5日に成立しました。

日本ではこの法案のメインテーマが米国の大減税にあり、イーロン・マスクが異を唱えているなどの側面からの報道が目立ちましたが、実は、しれっと

参考:【悲報】8月29日にデ・ミニミス廃止が決定されてました・・・

が同法律に盛り込まれました。詳細はウォール・ストリート・ジャーナルで報じられています。
参照:‘Big Beautiful Bill’ Would End De Minimis Exemption for Goods from All Countries

これにより、2027年6月までの約2年間と2027年7月以降では大きく越境ECを取り巻く環境が変わりますので、時間の流れに沿って話を整理します。

2027年6月30日まで

2027年6月30日までは、このブログで書いてきたルールが継続します。まとめますと、

  • BtoCの越境ECでは、申告額が800ドル未満の場合は、デ・ミニミス・ルールが適用され、関税はかからない。
  • ただし、商品が中国製、または香港製の場合は、日本からの発送であってもデ・ミニミスは適用されず、関税がかかる。具体的には、製品が中国で完成品となっているもの(商品パッケージは日本市場向けに日本語で書いてあっても、Made in Chinaと印字されているものなど)を想像するとわかりやすいでしょう。なお、納税義務は輸入者ですが、関税の支払いを輸出者が負担するという合意が為された取引(DDP)のときは別です。
  • 申告額が800ドルを超えるものは関税が発生する(納税義務は輸入者)。ただし、関税の支払いを輸出者が負担するという合意が為された取引(DDP)のときは別です。

となります。

2027年7月1日以降

では、One Big Beautiful Billが発効する2027年7月1日からは、

  • デ・ミニミス・ルールが完全撤廃されるので、たとえ1円の商品を送ろうとも関税がかかるようになり、その税率は現時点では、アメリカとの交渉がうまく行けば10%、不成立なら25%かかるようになる。納税義務者は引き続きDDPでない限りは輸入者。
  • ただし、米国居住者への正当な贈り物については、デ・ミニミスは継続する。
  • One Big Beautiful Billが発効してから30日後以降は、米国関税法の「その他の規定違反」条項により、デ・ミニミス通関を試みようとする者に対して、民事罰が科される。罰金の額は、初回違反で5,000ドル、2回目以降の違反で最高10,000ドル。

に変わります。

罰則に関しては米国居住者に適用される法律なので、アメリカ在住ではない人には無関係です(日本にいる人がアメリカの法律で罰せられたら大問題です)。
これは、アメリカ人消費者が関税支払いを回避するために、売り手の皆さんに「商用ではなく、贈物として申告してほしい」と頼んでくる人が急増することを見越して設定された罰則だろうと思います(とはいえ、正当な贈り物と偽装の贈り物をどうやって区別する気なのかは謎です)。日本居住者が受ける罰ではありません。

ちなみに、贈物やサンプルだと主張しても「0円申告」はありえませんので、ズルをすれば余計に税関で止まりますし、アメリカ人消費者が罰則を受けます(それによってトラブルに発展する可能性があります)。

なお、税関への申告額の定義は「実際に売った額」ではなく、「商品の価値そのもの」です(一般的には販売額で構いませんが、「贈物など、たとえタダで人にあげるものでも金銭価値に換算したら〇〇円」を申告するのが、税関における申告額です)。

ここまでをまとめると

2027年6月30日(日本時間では7月1日)までは、デ・ミニミスが有効ですので、BtoCの越境ECでは大きな影響は受けないと言えます。

2027年7月1日以降は、とにかく関税は発生します。
関税の税率は大統領がTACOる(Trump Always Chickens Out(トランプはいつもビビってやめる))などして上がったり下がったりする可能性がありますが、デ・ミニミスの完全撤廃は法律として成立してしまっているので、これを撤回するには、撤回するための法律を通さないとならないため、少なくともトランプ政権の間はデ・ミニミスは完全撤廃で決まりです。

以下は、関税に関する基本知識です。

関税は輸入者が支払うのが義務(例外はあり)

越境ECの相談や、セミナー後の質問などで

「関税とかの計算はどうしたらいいのか」

というのを非常に多く受けます。DDPで輸出する場合は売り手が調べる必要も出てきますが、おそらく質問者は、関税が消費税のように「購入された時点で購入額に税率を掛けて計算した額を上乗せしないといけないもの」という誤解をしているものと思います。

正確には、関税は「商品が目的地に到着したら、その国の税関が申告されている額に税率を掛けて計算した額を輸入者(購入者)に請求するもの」です。

きちんと法的根拠もあります。
日本では関税法第6条で、関税の納税義務者は、ほとんどの場合、貨物を輸入する者、つまり輸入者が納税義務者だと規定しています。海外から物を買ったら、買ったあなたが納税義務者です。

アメリカにもきちんと法的根拠があります。
アメリカの連邦規則集19条のBで「関税(通常関税および追加関税の両方)の支払い義務は、輸入者から米国政府への個人的な債務である」と明確に規定しています。アメリカへ売った場合は購入したアメリカ人が納税義務者です。

例外は、関税の支払いを輸出者が負担するという合意が為された取引(DDP)のときくらいです(他にもいくつか例外はありますが、滅多にないのでここでは省きます)。

したがって、関税については原則的には売り手が考える必要はありません。
例として、日米の例を挙げましたが、関税の支払い義務は、原則として輸入者にあるという点は、多くの国で共通の考え方です。

トランプ書簡について

トランプ大統領は現地時間の7月7日に貿易是正の合意がまとまらない国に書簡を送りました。

日本は自動車や鉄鋼などを除く商品は、製品が中国・香港製以外で、申告額が800ドルを超えた場合は一律10%でしたが、”貿易是正”が為されないと判断されると、2025年8月1日からは一律25%に引き上げるという内容でした。しかも、関税率の低い国を利用した迂回輸出も塞ぐ意志を示しています(参考:トランプ米大統領が日本に25%関税を通知した書簡全文)。

とはいえ、またTACOるかも知れませんからどうなるかわかりませんし、2年後も10%とか25%とかであるかもわかりませんけどね。

2027年7月1日以降のトレンドはどうなるか

まだデ・ミニミスの完全撤廃まで約2年あるので、この間に多くのECプラットフォーマーやEC支援企業も対策を打つと思いますが、仮に何も対策をせず、現状のまま2年間が過ぎるとすると、日本からの発送では関税が乗る分販売金額が高くなり、アメリカ人消費者の購入が落ち込むリスクが高くなるので、

  • 利益が圧迫されるのを覚悟でDDP輸送(関税は輸出者・売り手負担にする)に切り替える。
  • 輸入者が支払う関税分を値引きして販売する(現在自動車産業はこの方法で輸出してます)
  • Amazon FBAを利用せざるを得なくなる。FBAに在庫したものは、Amazonだけではなく、WalmartやeBayで売った消費者宛に発送もできます(ただ、これを機にAmazonでの購入者にしか対応しないとか、手数料を上げたりしそうだなぁ・・・)。

という動きが進むかも知れません。同時に国もこうした事を想定した補助金を今から計画すべきでしょう。

Amazon FBAで、在庫をアメリカに送る場合は関税が発生します。小ロット在庫では関税の影響が強く、価格面で競争力を失いますが、ある程度まとまった在庫を送れば、一品あたりの販売価格は抑えることもできるので、売れる可能性があります。具体的な計算の仕方は以前のブログに書いています(参考:タダでは転ばない中国ECモール。トランプ関税を無効化)

また、アメリカへの販売をやめるという選択肢もありますが、経済産業省の報告では、越境ECの出荷先でアメリカへの出荷が全体の9割を占めているとのことです(経済産業省 : 令和5年度 電子商取引に関する市場調査)。
これはアメリカ以外に日本の商品を吸収する市場が育っていないということにほかならないため、アメリカからの撤退は戦略として得策とは言えません。

中国系ECプラットフォームのTEMUやSheinは、上述の過去のブログ記事の通り、すでに高関税がかかっているので、FBAのようなアメリカ国内在庫や倉庫を拡大する戦略に舵を切っております。

今後2年間でそうした越境小口直送モデルから「国内入庫&国内配送」にシフトする動きが加速するだろうと思われます。

最後に、BtoBの場合では、売り手が関税を負担する場合は、EIN(米国納税者番号)の取得や、現地法人または米国の通関代行業者との契約が必要になります。

トランプ大統領はなんと言っているのか

トランプ大統領は「各国が支払う関税を記した書簡を送る」と言っていました。
無知で言っているのか、意図的に言っているのかはわかりませんが、この表現自体は、一般的な経済学的な理解や法的な実態とは異なっています。また、税収の増加が見込めるとも言っていますが、増えたとしても私達のお金ではなく、アメリカ国民のお金によって、なんですけどね。

意図的に言っているとしたら、貿易赤字に対する不満、アメリカが課す関税がかえって外国製品の競争力に有利に働いているといった理解(誤解ですが)、そうした理解に加えて複雑な経済構造を有権者に分かりやすく、かつ自身の主張に有利な形で表現しようとしているのではないかと思います。特に、トランプ支持者は総じて、教養、知性が低めの人が多いという報道もあるので、こうした「大いに誤っているがわかりやすい構図」に落とし込むつもりがあるのではないかと思います。

冒頭に書いたように、越境ECの場合は、当面の約2年間はあまり影響を受けずに済みそうですが、デ・ミニミスが廃止され、関税が発生するようになった場合、小売価格が高騰しますので、アメリカ市場での競争力が鈍る可能性はあります。
しかし、品質がアメリカの類似品より明らかに高いなど、価格以外の優位性が保たれている場合は、普通に売れるでしょう。商品代金が高騰するだけで、結局アメリカの消費者が割を食うだけです。

(2025年7月10日修正)

参考:【悲報】8月29日にデ・ミニミス廃止が決定されてました・・・

米国向けの関税・配送対応を任せる方法

米国向けのコスト構造は今後も動きます。自社で追い続けるのは負担です。 出品から通関・国際配送・多言語対応までGMOグローバルECが代行。ショップ様は国内倉庫へ送るだけです。

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Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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