Created by Tomas Ragina
米国デ・ミニミス廃止直前になり、対策を含めた最新のまとめ記事をアップしてあります。
参考:米国デ・ミニミス廃止に向けて準備すること【追記あり】
こんにちは。ジェイグラブの横川です。
目まぐるしく状況が変化するトランプ関税ですが、ここまでの流れを整理します。
1.春先の関税発表時は800ドル未満の申告額には関税を課税しないデ・ミニミス・ルールが生きているため、商品が中国・香港製でない限りはBtoC越境ECでは影響は小さい。
2.7月5日に成立した「唯一無二の偉大で美しい法」では2027年7月にデ・ミニミスを廃止することを表明。それでもまだ2年先なので、現状は影響を受けない。
という感じでした。
しかし、先日のブログでトランプ大統領が、このデ・ミニミス廃止を2027年7月1日から2025年8月29日に2年近く前倒ししろと命じたというロイター通信の速報をお伝えしました。
参考:また始まった!急にデ・ミニミスを8月29日から撤廃しろとトランプ大統領のたまう・・・
この時点では、単に命じたと言うだけで大統領令がでたわけでも大統領令に署名したわけでもないので、いつものTACOが炸裂して延期にでもなると思われました。
しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事で、この希望が打ち砕かれました。
もはや8月29日デ・ミニミス廃止は決定路線となっていたようです。ということで、以下にウォール・ストリート・ジャーナルの記事の抜粋版(オリジナルは有料記事のため)を紹介します。
電子商取引業者と消費者に警告するデミニミスの終焉
800ドル以下の貨物に対する関税を免除できる貿易規定は、中国だけでなくすべての国で終了する。
ホワイトハウスは先週、 800ドル以下の貨物を無関税で米国に輸入できる「デミミニス条項」を8月29日で停止すると発表した。これは、トランプ大統領の最近の予算案で示された2027年7月の期限よりもはるかに早い。
トランプ政権は5月2日、中国と香港からの低価格品に対するデミニミス関税を廃止し、TemuやSheinといった大手eコマース企業に打撃を与えた。ホワイトハウスは、いわゆる関税の抜け穴を塞ぐことで、米国の製造業者と労働者が恩恵を受けると述べている。
少額免税に頼る多くの販売業者を顧客とするEtsyは、この免除措置が世界中で終了することになり、最大の打撃を受ける企業の一つとなる可能性がある。ニューヨーク州ブルックリンに本社を置く同社の株価は、トランプ大統領が免除措置終了の大統領令に署名して以来、6%以上下落している。
「オンライン販売業者は本当にパニックに陥っています。関税だけでなく、貿易コンプライアンスに伴う付随費用も問題です」と、電子商取引協議会のCEO、マリアンヌ・ロウデン氏は述べた。利益率が低いため、通関業者を雇い、通関保証金を支払うことで、廃業に追い込まれる業者も出てくるだろうと彼女は述べた。
デ・ミニミス条項が廃止されることは中小企業にとって大きな痛手となる。関税を吸収する余裕がないからだ。
アニメのフィギュアや焙煎コーヒー豆など、様々な商品を海外の小売店で購入するアメリカ人の中には、価格上昇の懸念から買いだめをしているという人もいる。例えば、万年筆愛好家は、最高の万年筆はヨーロッパと日本製で、インクも韓国製が好きだと言う。
「これはテム(で買える安価な物)ではありません。これは高級ペンで、こんなペン先は他にはありません」と、ミズーリ州セントルイス在住で、日本製のセーラー万年筆を愛用するジェシカ・ミニエさんは言う。
ミニエさんは、ホワイトハウスがデミニミス制度の終了を発表した直後、日本から400ドル相当の万年筆3本を急いで購入したと語った。「これは大金だし、普段なら分割して購入できる。しばらくはこれでおしまいかもしれない」
参考:End of De Minimis Alarms E-Commerce Sellers, Consumers(ウォール・ストリート・ジャーナル)
おわりに
これにより、来月からアメリカへは何をいくらで送っても関税が発生します。
関税は、商品が相手国の税関に到着してから確定するものなので、たとえ8月20日に発送しても米国の税関到着が8月29日を超えてしまったというような場合は、大丈夫だと言うわけにはいきません。
したがって、今月下旬辺りからは発送に注意が必要です。また、発送前に「関税がかかるかもよ」と一言買い手に伝えておくほうが良いと思います。それでキャンセルになるほうが、関税が発生するとわかってからトラブるよりマシです。
関税は売り手の皆さんが払ってあげることもできますが、原則は買い手のアメリカ人が払うものです。
そして関税率は「トランプ関税以前に15%未満だったものは15%に、それ以上だったものは変更なし」だと誰もが思っていましたが、昨日になって随分と違うことをアメリカが言っています。それは「従来の関税+15%」だと。
こうなると、ありとあらゆる物が想定以上に高関税になります。
参考:トランプ政権「相互関税」特例で日本は対象外、15%上乗せの可能性…赤沢氏が修正要求へ(読売新聞)
それに対して、林官房長官は訪米中の赤澤経済再生担当相から確認したこととして、上記のアメリカの解釈が違うということを確認していると記者会見で述べています。
参考:相互関税、15%一律上乗せ否定 林官房長官、米側に確認と
つまり、「トランプ関税以前に15%未満だったものは15%に、それ以上だったものは変更なし」ということです。とはいえ、予断は許しません。
そこで越境EC事業者は、アメリカ以外の市場開拓を行っていく必要もあるでしょう。しかし、以前も記事にした通り、経済産業省の報告では、越境ECの出荷先でアメリカへの出荷が全体の9割を占めているとのことで(経済産業省 : 令和5年度 電子商取引に関する市場調査)、これはアメリカ以外に日本の商品を吸収する市場が育っていないということにほかなりません。
つまり、暫くの間は越境EC冬の時代を迎える可能性があるということも視野に入ってきたという感じです(と言っても対策案が枯渇したわけではありませんが)。



































