こんにちは。GMOグローバルEC株式会社の横川です。
フランス当局が、海外ECプラットフォームから購入した商品の調査結果を公表しました。
その報道によると、検査対象商品の75%がEU規則に適合しておらず、46%は「危険」と判定されたとのことです。
参考:France: 75% of imported products did not meet EU rules
一見すると、「海外事業者の遵法精神が低い人が多い」という話にも見えます。しかし実際は、構造的な問題があることを示しています。
EUでは現在、
・CE
・REACH
・GPSR
・VAT/IOSS
・EPR
・各国独自規制
など、多数のルールが重層化しています。これらのルールの中には制定から5~10年以内の新しいものも含んでいます。
それでいて「EU統一」と言いながら、加盟国ごとの運用差も大きく、特にドイツは、登録・書類・責任者・回収義務などを非常に厳格に運用する傾向があります。これはこれで問題だという記事も先日紹介しています。
参考:官僚主義的環境がEC事業者に重荷過ぎ問題(ドイツ)
各ルールに対してきちんとに対応しようとすると、
・管理コスト増
・出品スピード低下
・SKU削減
・価格競争力低下
が発生します。
一方、TemuやShein型の越境ECは、
・大量SKU
・超低価格
・小口直送
・高速回転
を前提にしています。
つまり、「大量・高速・低価格モデル」と「高度で複雑なEU規制」が構造的に衝突しているのです。とはいえ、消費者保護をないがしろにするわけにも行きませんから、EU側も最近は、「違反者を取り締まる」というより、「巨大プラットフォーム側に責任を持たせる」方向へ動いています。
最近、AmazonやeBayなどで、
・本人確認強化
・CE書類要求
・GPSR対応
・EU責任者情報
・危険商品の自動検知
が増えているのも、その流れです。
つまりEUは、「官僚主義をやめる」というより、「プラットフォーム側に官僚機能を移植する」
方向へ進んでいます。
一方でEU自身も、「制度が複雑すぎる」ことは認識しています。
そのため現在は、
・税関デジタル化
・デジタル製品パスポート
・AI審査支援
・統一データベース
なども進めています。
理想としては、「手続きだらけの世界」ではなく、「データ連携による自動適合確認」です。
ただ現実はまだ過渡期です。現在の欧州は、
古い官僚制度 + 新しいデジタル規制 + 加盟国ごとの運用差
が同時進行しており、かなり複雑な状態になっています。
ただ、この流れは日本企業にとって必ずしも悪い話ではありません。
日本企業は、超低価格競争では不利でも、
・品質管理
・安全性
・丁寧な運営
・トレーサビリティ
では比較的強みがあります。
今後の欧州ECは、「最安値競争」より、「信頼性競争」の比重が高まっていく可能性があります。
































