こんにちは。GMOグローバルEC株式会社の横川です。
ヨーロッパの中では比較的国民性が似ていると言われるドイツですが、教育のされ方は異なるので、以下の状況は「お上がなんとかしてくれる」という他責志向と甘えの強い日本人には居心地の良い環境かもしれませんが、ドイツ人にはやや重荷になってきているようです。
参考:Bureaucracy weighs heavily on German online sellers
しかし、この構造は効率的な参入方法も示唆しています。
ドイツのEC事業者に対する規制負担が重いという記事が話題になっています。税務対応、包装規制、データ保護、返品ルールなど、複数の規制が重なり合い、中小のオンラインセラーにとって大きな負担になっているという内容です。
このような状況を見ると、「規制が多い=ビジネスがしにくい」「イノベーションが起きにくい」といった印象を持ちがちですが、実態はもう少し構造的です。
まず重要なのは、これらの規制は単なる手間ではなく「対応しなければ違法になる領域」であるという点です。つまり、マーケティングや販売戦略の問題ではなく、事業の前提条件そのものになっています。そしてこの前提条件が複雑になるほど、単独の事業者よりもプラットフォームの存在が有利になります。
例えばAmazonのような大手モールは、VAT処理や返品対応、コンプライアンスの一部を仕組みとして吸収しています。結果として、出店者はすべてを理解しなくても販売が成立する構造が作られています。一方で自社ECの場合は、これらをすべて自社で対応する必要があり、しかも国ごとに異なるルールに追随しなければなりません。規制が増えれば増えるほど、この差は大きくなります。
つまり、規制強化は「参入障壁を上げる」と同時に、「プラットフォーム依存を強める」という構造を生みます。これは単にモールが強くなるというより、「モールを使わないと成立しない領域が増える」という変化です。
一方で、欧州の規制は単なる管理強化ではなく、「ルールを通じて市場を設計する」という側面も持っています。GDPRのように、EUのルールが結果としてグローバル標準になるケースもあり、規制そのものが競争環境を作っているとも言えます。
ここで重要なのは、これらの規制は「正解が用意されているもの」ではないという点です。例えばデータ保護においても、「これをやればOK」という単純なチェックリストではなく、「自社としてどう設計し、どう判断したか」を説明することが求められます。
有名な話ですが、算数の答えを求める問題で、
日本は「2+3=?」と求めるのに対し、
英国などでは、「?+?=5」と求めると言います。
こうした幼い頃からの教育のされ方で、社会人としての動き方も変わってきます。
日本人はオペレーション力・同質再現性が強くなる一方、欧米人は設計力・解釈力が強くなります。
別の言い方をすれば、日本人はルールを与えられれば強いが、ルールを作れというのが苦手。海外の人は逆です。
越境ECは日本にいながらにして海外市場で戦うベームです。つまり、「正解を当てるゲーム」ではなく、「正解を設計するゲーム」をしないとならないのです。
プラットフォーマーは、ユーザーのためにお膳立てして当たり前という感覚が日本人には多いですが、海外では、プラットフォーマーはベースだけ作ってあるので、個々のニーズには応えておらず、不備もあります。それを前提に、どう工夫するのかが重要になってきます。
この構造は実際の参入の戦略にも直結します。規制が厳しい市場に対して、いきなり自社ECで参入するのは現実的ではありません。まずはモールを活用して規制対応を吸収し、その中で売れ筋や必要な要件を把握する。そのうえで、必要な部分だけを内製化していくという段階的なアプローチが合理的になります。
したがって、今回のドイツの事例は単なる「規制の厳しさ」の話ではなく、「どのように市場に入るか」という戦略の問題を示しています。規制を避けるのではなく、どこまでをプラットフォームに任せ、どこからを自社で担うのか。この設計こそが、これからの越境ECにおける勝ち筋と言えます。
































