JD.comのヨーロッパ最新動向について、以前の記事でMediaMarkt(メディアマークト)買収交渉報道などの話題を取り上げましたが、今回はそのJD.comが新たに展開する「Joybuy(ジョイバイ)」のフランス進出について紹介します。
欧州EC市場の新潮流、「Amazon Haul」と「Joybuy」
欧州のEC市場が活況を呈しています。2025年10月1日、米Amazonによるディスカウント特化サービス「Amazon Haul」がベータ版でフランス、スペイン、イタリアへ相次いで進出しました。Amazon Haulはすでに英国・ドイツに導入されており、低価格&多品種展開で急成長中です。

Amazon Haulはファッション・生活雑貨・家電など30カテゴリー以上、ほとんどの商品が20ユーロ(約3,500円)以下という価格戦略を前面に押し出しており、従来のAmazon本体と異なる独立した検索・カート・決済システムで、配送は1~2週間かかります。カスタマーサービスはAmazon本体の運営水準そのままで、格安ECの代名詞「Temu」や「SHEIN」に真っ向から挑む形です。
これに対して10月27日、JD.comの「Joybuy」のベータ版がフランスに開設されました…。
Joybuyは、「生活必需品+中国ブランド+迅速な物流」を武器に欧州市場に展開、すでに欧州で展開中の「AliExpress」や「Temu」、「SHEIN」といった激安ECとは一線を画し、iPhoneやLEGOといった海外ブランドや欧州ブランドの商品も揃えています。

もともとJoybuyは、JD.comが「Ochama」というブランドでヨーロッパ展開をしていましたが、2025年8月にOchamaはJoybuyへとリブランディングされ、2025年春にイギリスでスタートしていました。この秋にはフランスでもサービスを開始し、この他にもすでにテスト運用されているドイツ・オランダ・ベルギー・ルクセンブルクがサービス対象となっています。
JD.com はすでにヨーロッパに多数の物流拠点を買収または賃借しており、フランス、ドイツ、オランダなどに広がる倉庫で超高速配送を約束しています。パリ地域での注文は当日配送、フランスのその他の地域では1~2日以内に配送です。さらに、現地語対応のカスタマーサービスなどで、価格&品質重視の消費者層の獲得をめざしています。Amazon Haulが対「Temu」、「SHEIN」であるのに対し、Joybuyは対Amazonの構図というわけです。
Amazon HaulとJoybuy——プラットフォーム比較
| 特徴 | Amazon Haul | Joybuy(JD.com) |
|---|---|---|
| 創業国 | 米国 | 中国 |
| 主要国 | 英国、ドイツ、スペイン | 英国、フランス、ドイツほか |
| 価格レンジ | 1~20ユーロ | 多様、同業他社並 |
| 商品カテゴリ | 30以上の雑貨 | 家電、食品、雑貨など広範囲 |
| 配送スピード | 1-2週間(標準) | 即日/翌日(一部都市) |
| 返品規約 | 15日以内(低価格品の一部返品不可) | 欧州の法令対応(出品者ごと) |
| プラットフォーム | Amazonアプリ/WEB | Joybuyアプリ/WEB |
欧州EC戦争の今後
中国・米国のメガプラットフォームが、ローカルブランド(Cdiscount・Otto・Argos等)を巻き込んだ「新価格競争」に突入してきました。
フランスではJD.comがMediaMarktグループ買収で実店舗ネットワークも拡大しつつあり、AmazonはHaulで格安路線に舵を切るという、両社とも従来の枠にとらわれない「体験型EC」の先駆けとなっています。現地適応や法規制対応(CE認証・GDPR対応など)がキーとなり、今後も競争は激化していくと予想します。
参考文献:
C’est quoi JoyBuy, cette nouvelle plateforme chinoise qui veut concurrencer Amazon?(BFM RMC Conso)
Joybuy, le site de JD.com, arrive en France(Ecommercemag.fr)
Amazon Haul : la réplique d’Amazon sur le low-cost en France(Ecommercemag.fr)


































