アメリカ宛ての越境EC配送が不安定さを増す中、今年の年末商戦をどう乗り切るかが大きな課題となっています。
前回のブログでは、価格や商品力だけが越境ECを成功へ導くわけではない例として、消費者は配送の「匿名性」と「プライバシー保護」を求めているという調査結果を紹介しました。
今回は、もう1つの調査結果を紹介したいと思います。
66%の消費者が「5%割引をあきらめても配送確約を選ぶ」
Radialが2025年8月にDynataと共同で調査した米国の消費者1000人対象の「ピークシーズン消費者調査」によると、なんと66%の消費者が「5%の割引をあきらめても、配達日時が保証される方がいい」と答えています。若年層に限ると、その数字はさらに高く、約3分の1が「20%割引よりも配送の確実さを重視する」と回答しているのです。
この結果は、越境ECにおいて「ただ安くするだけでは“戦えない”時代」に突入していることを強く示唆しています。
分析:なぜ「確実な配送」がそんなに重要なのか?
速さだけじゃ足りない、予測できる配送こそが価値
速さだけではもう通用しません。同価格帯なら62%の人が「配送が速い方」を選ぶと答えた一方、特に注目したいのは「速さ」だけではなく「予測可能な配送」が期待されている点です。2023年にはわずか19%だった「2〜3日配送を期待する割合」が、2025年には30%に急増。一方、「即日・翌日配送が合理的」と考えているのは7%にすぎず、週単位の長い待機に耐えられるのはわずか23%、さらに長いのは3%とかなり厳しい数字です。つまり、「いつ届くか分からない配送」は受け入れられなくなりつつあるということです。
購入後の“安心コミュニケーション”が信頼を築く
「信頼は購入のあとに築かれる」―これもキーワードです。
- 商品ページに「1~2営業日で発送」の表記を信じる人は74%にもなる一方で、「在庫が残りわずか」などの演出には53%しか信じていない。
- 注目したいのが、85%の消費者が少なくとも数日に一度は荷物を追跡し、若年層では26%が1日に複数回チェックするという点です。この追跡行動は、ちょっとした「安心欲求」の表れです。
つまり、配送過程でのリアルタイム追跡や、返送のしやすさ、継続的な更新情報といった「見える化・コミュニケーション」が信頼を支えているということになります。
チェックアウトのハードルも“信頼”に直結
配送だけではありません。チェックアウトの体験も信頼に直結するリスクポイントです。
- 約半数の消費者が、「チェックアウトが面倒だから購入をあきらめた」経験あり。
- 31%がPayPalやBNPLのような希望する支払手段がないため離脱。
- 49%はサイトが安全に感じられないとカートを放棄すると回答。
買える環境をシームレスに整えるのも、配送と同じくらい重要ということが言えます。
越境ECにおける戦略への示唆:今こそ“安心”で差をつけよう
このレポートが投げかける教訓は明快です。
- 割引よりも「配送確約」重視:5%割引より確実な配送を求める66%。ここに投資すべき。
- 配送の透明性重視:リアルタイム追跡や丁寧な情報発信で信頼を築く。
- チェックアウトの最適化:複雑な手続きや支払オプション不足は離脱に直結。
- 価格競争から差別化へ:単なるディスカウント戦略から、「安心して買える体験」へシフトすることが、長期的なリピーター獲得につながる。
まとめ
消費者の58%が「ホリデー予算を縮小する」(2024年比で20ポイント増)と回答しています。通関や経済環境への先行き不安も背景に、35%の方が関税の影響による消費縮小を示唆しました。その代わり、34%がディール重視、22%が「配送遅延回避に早期購入する」と答えています。大手ECサイト(Amazon、Targetなど)は取引全体の72%を占め、Etsyなどのカスタムマーケットやローカル店舗も11%〜12%へ着実に伸長中です。
越境ECは、国境を越えた言語や規制、物流の制約があるため、顧客体験における「不安要素」を最小化することが何より重要です。そのなかで「確実な配送」と「安心して購入できる環境」を整備することが、長期的な信頼関係を築き、リピーター獲得につながる大きな鍵となるでしょう。
出典:Radial Uncovers 66% of Holiday Shoppers Would Give Up Discounts for Guaranteed Delivery(Radial)


































