こんにちは、GMOグローバルEC株式会社の横川です。
1月21日にShopeeからメールで「2026年2月1日から販売手数料が改定」という内容のメールを受け取った方も多いかと思います。メールで告知から実行(適用)までわずか10日という日本では考えられないスピード感です。
なお、今回の値上げですが、単なる「値上げ」と捉えるとただの損で終わります。今回の変更の意図と今やるべき対策を確認しましょう。
1.何が変わるのか?
シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムなど主要国で販売手数料が約2%ほど上昇(VAT込み)。

この値上げの背景には、新機能である「広告費の自動チャージ(Auto Top-up)」が導入されるという点があります。これは、売上が確定した瞬間に、システムが2%を天引きし、「広告クレジット」にチャージするというもの 。値上げ分はこのシステム分です。単純にShopeeの懐に収まるのではなく、ユーザー自身の次の施策の原資として蓄えられます。これはオプションではなく、対象国の全セラーに適用される仕組みとなっています。
わかりやすく例えると、親が形式的にお年玉として渡したものの、一部は親の権限で子供の将来のためという名目で強制的に貯金に回されてしまうようなものです。
2.文化的背景の考察
Shopeeの説明はメールに記載されています。代表的なものは、「広告切れを防ぎ、セラーの売上拡大を支援するため」というものです。
前項で、お年玉の例え話を出しましたが、アジア流プラットフォームは日本や欧米とは異なる文化を背景にした思想があります。ここを見落とす、あるいは無視していると、アジアで戦っていくことはできません。
AmazonやeBayは「自由競争(場所は貸すから勝手にやって。生き残るものだけが生き残って)」というスタンスです。日本はそれより少し社会主義的ですが、どちらかというとこちらに近いです。
しかし、Shopeeに限らずアジア系プラットフォームは「運営が『勝てるルート』を知っているので、そこにセラーを乗せる」といった、パターナリズム(父権的温情主義)が奥底にあります。
そして何よりスピード感の違いがあげられます。日本のように「合意形成」や「安心・安全」を重視して慎重に進めたり、無駄な会議、無駄な儀式のオンパレードで時間を優雅に無駄にする文化(生産効率性が最低クラスの原因)から考えると「10日前に通知して即実行」はあり得ません。しかし、Shopeeの主戦場である東南アジアや、そのバックにある中華圏のビジネススピードは「走りながら考える(そしてダメならすぐ変える)」のが当たり前です。これは、アジアに限らず欧米でも同じです。「変更またかよ…」と嘆くより、このスピード感に適応することが求められています。
3.「無視」は絶対にNG
「よく分からないから放置(無視)しよう」が一番だめな危険な思考です。
なぜか?
- 無視しても2%は確実に引かれる(実質的な手数料アップと同じ)。
- チャージされたクレジットは現金には戻らない 。
今回の値上げ分の2%は、単なる「コスト」ではなく、自動的に広告に投資させられるものです。取られるものは仕方ないとして、「どうやってこの2%を使って競合を出し抜くか」に頭を切り替える必要があります。
4.今すぐやるべき対策
まずは販売価格を改定しましょう。これはShopeeも推奨しています。ただし、手数料値上げ分を著しく超える値上げはペナルティを課すと予告されています(しかもこのペナルティは免除しないとあります。つまり、Shopeeコミュニティから追い出されるに等しい厳しいものです)。
広告設定の見直し(必須):2月1日以降、セラーセンターを確認する。
- 必ず「Target ROAS(目標費用対効果)」を設定し、AIにブレーキとアクセルの指示を出す 。
- あるいは、チャージ分を使って「手動広告」で主力商品を確実に露出させる。
おわりに
今回の変更は、Shopeeが「課金して露出するセラー」を優遇するという明確なメッセージと受け取れます。
「日本的な安心感」を求めると疲弊してしまいますが、「アジア流のゲーム」だと割り切れば、対応の遅いライバルが脱落するチャンスでもあります。越境ECは日本にいながらにして海外と接点の持てるビジネスですが、日本にいる外国人相手ではなく、外国にいる外国人に売っていくわけですから、日本のやり方に合わせろという論理は通じません。むしろ日本側が海外の文化に合わせなければなりません(ジェイグラブ株式会社時代からしつこくしつこく「知識より意識の問題のが重要だ」と言い続けてきた所以です)。
質は日本流、売り方は海外流という、このハイブリッドができるセラーが一番強いです。
また、売上金額から徴収した手数料の一部をセラーの広告費に充当させる、お節介に近い施策に踏み切った背景には、ただ出品していれば売れるという時代は終わったということであり、同時にTiktok shopの台頭というライバルの突き上げに対する対抗策でもあると思います。
アジア方面で商売をしたいという人は、2月1日は新しいスタートラインです。設定を見直して生き残りましょう。

































