こんにちは。GMOグローバルEC株式会社の横川です。
これまでECサイトでは、「検索で上位表示されること」が集客の大きな鍵でした。しかし、AIが商品を探し、比較し、購入先まで提案する「エージェンティックコマース」の時代になると、その前提が大きく変わります。
最近公開された2つの記事は、この変化を異なる角度から示していました。
ひとつは、Search Engine Journalの記事です。世界的な小売企業の商品ページを調査したところ、約70%がAIによる商品推薦に必要な情報を十分に提供できていないことが分かりました。
参考:70% Of Top Retailers Are Invisible To Agentic Commerce – Here’s Why
不足していたのは、GTIN(商品識別番号)、配送情報、返品条件、有効価格期間といった、AIが商品を正確に理解するための構造化データです。さらに、一部のサイトではAIクローラーをブロックしてしまい、そもそもAIが商品情報を取得できないケースも確認されました。
一方、Miraklの記事では、消費者側の変化に注目しています。
すでに多くの消費者がChatGPTなどのAIを使って商品を探し始めているにもかかわらず、AIに正しく理解・推薦される準備ができているECサイトはごくわずかであり、「99%のECサイトはまだ準備不足」と指摘しています。
参考:Consumers are already using AI to shop, but 99% of eCommerce isn’t ready
つまり、両者は別々の話をしているようで、実は同じ問題を見ています。
消費者はAIに「おすすめの商品は?」と尋ねる。
AIはECサイトの商品情報を集めようとする。
しかし、商品情報が構造化されていない、配送条件や返品条件が分からない、レビューやFAQが不足している、あるいはAI自体がアクセスできない。
その結果、AIは「判断できない」と結論付け、その商品は推薦候補から外れてしまいます。
これまでのECでは、「人に伝わる商品説明」が重要でした。もちろん、それはこれからも必要です。しかしAI時代には、それだけでは足りません。AIは感情ではなく、比較できる情報を必要とします。
・商品属性は整理されているか。
・サイズやカラーは明確か。
・配送条件や返品条件は記載されているか。
・レビューやQ&Aは充実しているか。
・AIが読み取れる構造化データになっているか。
こうした情報が整って初めて、AIは商品を理解し、自信を持って推薦できるようになります。
これはSEOの延長ではありますが、目的は少し変わります。これまでは「検索エンジンに見つけてもらう」ための最適化でした。これからは「AIに理解され、比較され、選ばれる」ための最適化へと進化していきます。
私は以前から、「AI時代は文章力だけでなく、構造化力が競争力になる」とお伝えしてきました。今回の2つの調査は、その考えを裏付ける内容だったと感じています。
AIが商品を推薦する時代では、「良い商品を作ること」だけでは十分ではありません。
AIが理解できる形で商品情報を整備し、安心して推薦できる材料を揃えることが、新しいEC運営の基本になります。
これからの競争相手は、検索結果で現れる自分の上か下に出てくる店舗ではありません。AIに選ばれる商品になるかどうか。その準備を始めた企業が、次の時代の勝者になっていくのではないでしょうか。
































