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越境ECブログ

トランプ政権「対日12.5%関税案」で越境ECは?

アイキャッチに使っている「Just Tariffic!」は「Just terriffic!(最高!)」をもじったもので、トランプ政権をどう見るか、立場によって解釈が変わるものです。
支持者が見れば「関税、超イケてる!」のような意味合いになります。
不支持の立場から見れば「いやー素晴らしい改革ですね(棒)」みたいな感じに近くなります。

さて、先週ニュースになりました、トランプ関税第3弾、301条を根拠にするかも的な話がでましたので、まとめました。いまのところ、決定事項ではなく、可能性を伝えているのみで、国内のニュースだけでなく、海外のニュースも網羅的に見てみてまとめました。


【トランプ政権「対日12.5%関税案」は何が起きているのか? 越境EC事業者向けに整理してみた】

先週ニュースになったのは、「トランプ政権が日本に12.5%程度の追加関税を検討」というものでした。

越境EC事業者としては、「また関税か……」と思う一方で、「結局どうなるの?」という人も多いのではないかと思います。

繰り返しますが、重要なのは、これは“決定事項”ではありません。
現時点では、米通商代表部(USTR)が進めている301条(Section 301)に基づく提案段階です。

日本語メディアでは「スーパー301条」と呼ばれることがありますが、正確には301条措置に基づく新たな調査・追加措置案です。

今回の理屈は少し特殊です。

米国側の説明では、「強制労働由来の製品が米国市場に流入することを十分防げていない国」に対し、追加関税を検討するというもので、提案資料では、日本を含む一部の国が「12.5%グループ」に分類されています。

ただし、ここで注意したいのが、「日本製品すべてに12.5%を単純上乗せ」という話ではない可能性です。

海外メディアのロイターによれば、USTR代表のジェイミソン・グリア氏は、日本やEUなどとの既存合意にある関税上限(15%)は維持する考えを示しています。
参考:https://www.reuters.com/business/us-will-uphold-tariff-caps-deals-with-eu-japan-others-us-trade-chief-says-2026-06-04/?utm_source=chatgpt.com

つまり、仮に今回の301条措置が実施されたとしても、
「既存関税(MFN税率)+追加関税」の合計が、15%程度に収まる可能性が高いと考えられています。

例えば、現在の米国通常関税(MFN)が0%の商品であれば、

0%+12.5%=12.5% になります。

一方、現在3.9%の関税がかかる商品なら、

3.9%+12.5%=16.4% ですが、日本との既存合意による15%上限が適用されれば、実効税率は15%程度に調整される可能性があります。

つまり、多くの日本商品は、「現在の10%程度以上の関税 → 将来的に15%近辺へ」という世界観になるかもしれません。

この構図、実は以前のIEEPA(国際緊急経済権限法)による10〜15%追加関税時代と少し似ています。ただし、違いもあります。IEEPAは「大統領緊急権限」に基づくため、裁判で差し止めや返金議論が起こりやすく、制度として流動的でした(実際そうなりましたしね)。

一方、301条はトランプ1期でも広く使われた通商法上の措置で、法的な安定性は比較的高いと言われています。つまり、「どうせすぐ終わるだろう」とは考えにくいのが今回の特徴です。

そして今回の論理は、「日本企業が強制労働を使った」ではなく、「日本政府・日本市場が、中国など由来の強制労働リスク商品を十分排除できているか」という見方をされています。

背景にあるのは、中国新疆(ウイグル自治区)問題です。
米国では、「ウイグル強制労働防止法(UFLPA)」という制度があり、新疆由来の原材料や部材が少しでも含まれている疑いがある場合、輸入を止める強い権限が税関に与えられています。

法律を少し知っていれば違和感のあるポイントです。
日本では、「疑わしきは罰せず」という法感覚が強く、行政側が違反を証明する責任を負うのが一般的です。

一方、米国の輸入管理、とくに安全保障・人権問題では考え方が異なります。
「問題があると後から分かっても遅い。まず止める」という発想が強く、「疑わしいなら、まず疑い、問題がないことを企業側が証明する」という制度設計になっています。

実際、過去には日本企業の商品も、「新疆由来原料が含まれている可能性」を理由に米税関で差し止められ、大きな話題になったことがありました。企業側が完全否定していても、「証明責任」が企業側に求められるため、非常に対応が難しい問題です。

ただ、今回の301条案については、「本当に日本全体に12.5%を広くかける合理性があるのか?」という疑問もあります。

WTO的な考え方では、本来は問題のある品目や供給網に限定して対応する方が自然です。
そのため、今後の展開としては、

・対象品目が縮小される
・例外措置が増える
・最終的に15%程度の実効税率へ整理される

といった方向も十分あり得ます。

では、越境EC事業者はどう考えるべきでしょうか。結論から言えば、悲観しすぎることはありません。
むしろ、価格勝負の商品ほど厳しくなり、「なぜこの商品なのか」を説明できる企業が強くなる可能性があります。

  • 誰が、どこで、どう作ったのか。
  • 原材料は何か。
  • 日本製なのか。
  • 地域性や職人性はあるのか。

こうした“文脈”が、AI時代の推薦だけでなく、通商リスクへの耐性という意味でも重要になっていくかもしれません。まだ確定ではないとはいえ、今回の動きは、「安ければ売れる時代」から、「説明できる商品が選ばれる時代」への変化を象徴しているようにも見えます。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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