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越境ECブログ

OpenAIの戦略変更とWalmartのデータが示すECの未来

こんにちは。GMOグローバルEC株式会社の横川です。

昨年10月から今年の1月にかけて、AI関連企業が続々とEC分野に入り込み、今年の下半期には全世界にエージェンティック・コマースを適用させるとアナウンスがされました(現在は一部地域で試験運用中)。
参考:エージェンティック・コマース(Agentic Commerce)」の覇権争いがいよいよ本格化

「AIがそのまま商品を購入する時代が来る」ということです。
しかし、ここにきてその流れに一つの現実的な答えが見えてきています。

OpenAIは、ChatGPT内で完結する「インスタント・チェックアウト」路線を後退させ、外部ECサイトへの誘導を重視する方向へと舵を切りました。
参考:OpenAI Shifts E-commerce Strategy, Abandoning Instant Checkout

同時に、Walmartは「ChatGPT経由のチェックアウトは自社サイトの約3分の1しかコンバージョンしない」と発表しています。
参考:Walmart says ChatGPT checkout converted 3x worse than its own website

この2つの動きは偶然ではありません。
むしろ、同じ現実に対する2つの答えと捉えるべきでしょう。


AIは「買わせる場所」ではなかった?

まず重要なのは、AIの役割です。AIは確かに、

  • 商品を探し
  • 比較し
  • 最適解を提示する

という点では圧倒的に優れています。しかし一方で、

  • 信頼して決済する
  • 感情で納得する
  • 最後の一押しを得る

といった「購買の最終段階」は苦手です。

この結果として起きているのが、

  • AIで商品を知り
  • ECサイトで納得して購入する

という現在の構造です。


なぜAI内購入はうまくいかないのか

Walmartのデータが示している通り、AI内での購入は現時点では大きく劣ります。
その理由はシンプルです。

① 信頼の欠如

どこにお金を払っているのかが曖昧

② 比較体験の不足

人は合理的に見えて、実は「迷うこと」で納得する

③ 感情の不足

レビュー・ストーリー・ブランド体験が弱い

④ 購買モードに入らない

AIは「調べる場所」であり、「買う場所」ではない。つまり、AIは優秀な営業マンではあるものの、レジ係にはなりきれていないのです。


変わらない構造と、変わった本質

ここで重要なのは、それでも構造自体は大きく変わっていないことです。

現在の流れはこうです。

  1. AIが最適解を提示
  2. URLを提示
  3. 人がECサイトで購入

この構造は今後も続きます。ただし、決定的に変わるポイントがあります。それは、

意思決定の場所がECからAIへ移動している

という点です。


「検索順位」から「推薦順位」へ

従来のECは、

  • 検索される
  • ECサイトに来る
  • サイト内で比較される

という流れでした。しかしこれからは、

  • AIが比較・選定する
  • ECは最終確認の場になる

という構造になります。つまり、「ECの外で勝負が決まる」ようになったのです。


エージェンティック・コマースでも結論は同じ

ここでよくある議論が、「AIがそのまま買う時代が来るのか?」というものです。
結論から言えば、「すぐには来ないが、来ても本質は変わらない」です。
なぜなら、

  • 人が買う場合→ AIが候補を決める
  • AIが買う場合→ AIが候補を決めてそのまま買う

どちらにしても、「最初に選ぶのはAI」だからです。つまり、本質は、

「AIが買うかどうか」ではなく、「AIに選ばれるかどうか」

これがすべてです。そしてこの変化によって、重要なポイントも明確になります。

■ ECサイトの役割の変化

比較の場 → 納得と信頼の場へ

■ 商品に求められる要素の変化

曖昧な魅力 → 言語化された価値へ

■ 勝つ商品の特徴

  • 明確な用途
  • 比較優位が説明できる
  • 誰に向いているかが明確
  • 価格の位置づけが説明できる

ちなみに、この変化はまったく新しいものではない点です。従来から言われていた

  • 属性
  • 用途
  • 比較
  • 価格帯
  • ストーリー

という「売れる商品の構造」は、そのままAIにとっても評価しやすい構造です。


まとめ

OpenAIの戦略変更とWalmartの発表は、同じ現実を示しています。

  • AIは売る場所ではない
  • AIは選ぶ存在である
  • ECは最終決済の場として残る

そして最も重要なのは、意思決定がAIに移動したという点です。すなわち、AIに推薦されるように商品登録をしないとならないという方向性にはブレがないということです。


さいごに

これからのECで問われるのは、SEOでも、広告でもありません。「AIに選ばれる構造を作れているか」です。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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