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越境ECブログ

ブラックウィークで欧州物流が限界突破。越境ECが今すぐ見直すべき倉庫・配送の最適化とピーク対策

年末商戦がピークを迎える中、物流現場の混雑は越境ECを運営する日本の事業者にも確実に跳ね返っています。佐川急便をはじめ、クロネコヤマト、日本郵便なども大きく発送遅延しており、通常翌日届く商品が最大1週間となってまうこともあり、大混乱していることを肌で感じています。

欧州発信ですがドイツでも2025年のブラックウィーク期間中、DHLが1日あたり1,240万個という過去最高の荷物量を処理し、平常日のほぼ2倍に達したと報じられました。

出典:ntv

DHL eCommerce部門では、国際・国内を合わせたピーク時の処理見込みが通常比6割増の1,400万個/日とされており、ブラックフライデーからクリスマスにかけての数週間が年間目標達成のカギになっています。 返品も年間5億5,000万件超という「リターンピーク」が予測されており、これは、返品処理そのものが大きな“隠れコスト”としてECの収益を圧迫することを示しています。このように、ECと物流がいかに密接に連動しているかが分かります。​

この規模の波は、AmazonやZalandoのような大手だけでなく、中小の越境ECにも確実に影響します。 欧州のキャリア側がここまで逼迫するということは、日本発の小口輸出であっても、リードタイムの乱高下やラストマイルの遅延を前提に設計しておく必要があるということです。そして最悪なのは配送料の値上げの噂…も出てきております。

2025年ピークの「例外性」と人材不足

2025年の越境ECは、予測不能な貿易政策、根強い労働力不足、需要急増が重なる例外的な状況を世界各国で迎え、米国・カナダ・英国での調査では、99%のeコマースリーダーが関税変動とデ・ミニミス例外終了を計画に影響づけ、7割超が価格引き上げて対応するものの、利益率を圧迫しているようです。 そのため大手小売は在庫前倒しを控える動きが強まり結果として、倉庫スペースが逼迫してスプレッドシート依存の運用ミスも増加しています…。​

労働力不足も深刻で、サプライチェーンリーダーの76%が顕著な人員不足を経験し、58%が顧客サービス低下を指摘。 倉庫運営者の52%がピッキング・フォークリフト作業員確保を最大課題とし、研修遅れがボトルネックを生み、残業・返品コストを膨張させます。 こうした課題は紙ベース業務やシステム分断に依存する中小事業者に壊滅的で、日本発越境ECもEUキャリアの逼迫に連動します。

倉庫レイアウトを「ピーク仕様」に

欧米の事例では、ピーク対策の出発点として、倉庫レイアウトの見直しが強調されています。 ピーク期の倉庫は「歩かせない・迷わせない・詰まらせない」が鉄則です。売れ筋商品を梱包・出荷ステーションの近くに集約し、歩行距離を徹底的に削ること、通路幅をピーク時の増員を前提に設計して「渋滞」を防ぐことなど、物理的な配置の工夫だけでも大きな差が出ます。

成長段階にあるECブランドだとWMS(倉庫管理システム)でピッキングルートを最適化したり、類似アイテムをまとめて回収するマルチオーダーピッキングを導入することで、限られた人員とスペースを最大限に活用している事例も紹介されています。

ピック・パック・シップを一本の「流れ」にする

ピーク時に差がつくのは、入荷から出荷までのプロセスがどれだけ「摩擦のない一本の流れ」になっているかどうかです。 受入段階でのプレラベリングやバーコードの精度確保、日次のピッキングが始まる前の補充完了など、現場のボトルネックになりやすい手作業をどこまで事前に潰しておけるかが、生産性に直結します。​

また、出荷ワークフローについては、ラベルや納品書の自動印刷、バーコードベースのピッキング、そしてマルチキャリアの自動配送料金比較(レートショッピング)など、専用ソフトウェアによる自動化がポイントとされています。 特に中小規模のECにとっては、複数キャリアと連携しながら最適な運賃とサービスを自動で選べる仕組みが、コストと配送リスクの双方を抑える武器になり得ます。

テクノロジーと人手の「ハイブリッド」

欧州の倉庫オペレーションでは、「人手+自動化」のハイブリッド運用が一般化しつつあります。 ピーク期は一時的な人員増強に頼らざるを得ない一方で、ロボティクスや自動仕分け、スキャン端末などを組み合わせて、現場スタッフ一人あたりの処理能力を引き上げるアプローチです。 Robotics-as-a-Service(RaaS)のように、ピーク期だけロボットを追加で借りてオフピーク時に返却するモデルも浸透しつつあります。​人手不足でもピークを乗り切れる可変容量のオペレーションを構築できるのが最大のメリットです。

同時に、オペレーションを支えるソフトウェア群(WMS、出荷管理、ECプラットフォーム)の統合も重要視されています。 Shopifyなどの販売チャネルと倉庫側のシステムを連携させ、バーコード一回のスキャンでラベル発行から在庫引当、顧客への配送ステータス通知まで一気通貫でトリガーできれば、人為的ミスの削減とリードタイム短縮の両方が期待できます。​

越境EC事業者が今からできること

日本から越境ECで海外向けに販売する事業者にとっても、ピークシーズンの倉庫最適化は「他人事」ではありません。 自社または委託倉庫のレイアウトと動線を見直し、売れ筋商品の配置・梱包ステーションの数・通路幅・補充タイミングなどを、ピーク時の前提条件で再設計することが出発点になります。​

そのうえでWMSや出荷管理システムの導入・見直しを検討して、マルチオーダー・ピッキングやレートショッピングなど、ピーク向けの機能を業務フローに落とし込んでおきたいところです。 とくに海外発送では配送遅延とコストが利益直結です。

ドイツDHLの事例が示す通り、キャリア側のピークは今後も拡大する可能性が高く、倉庫と配送の一体最適をどこまで平常時から準備できるかが、越境ECの繁忙期を「売上チャンス」に変えられるかどうかの分岐点になっていくでしょう。

参考文献:
Black Week beschert DHL einen Paketrekord(ntv)
Ecommerce Warehouse Optimization: Mastering Peak Season in an Extraordinary Year(Global Trade)

Writer 山田彰彦

山田 彰彦 代表取締役 越境ECコンサルタント eBay JAPAN創業メンバー、ヤフー株式会社コマース事業などを経てGMOグローバルEC(旧ジェイグラブ)株式会社を創業。越境EC歴24年。イーベイ・ジャパン公認コンサルタント、ジェトロ新輸出大国コンソーシアムEC専門家、中小企業庁「新しい担い手」越境EC委員も務める。

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