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越境ECブログ

スタバ × ジェラピケ転売騒動から考える越境ECとリセールビジネス

マクドナルドの「ハッピーセット」によるポケモンカード転売騒動の“舌の根も乾かぬ”うちに…とでも言うのでしょうか。今月、スターバックスとジェラート ピケのコラボ商品が販売直後に完売。フリマアプリでは定価を大きく上回る価格で取引され、SNSでは批判の声も噴出しました。

本来、販促やファン向け企画として作られた商品が、利益目的の「転売ビジネス」に巻き込まれる現象は、国内の二次流通市場の急拡大を象徴しているとも言え、リユース文化の発展そのものは歓迎すべき動きですが、とはいえ逸脱した行為として批判を浴びる光景も度々見られます。

海外の転売ビジネス事情

海外でも転売による問題は度々あり、主に有名アーティストの公演や、スポーツ観戦といったチケットの転売がよく挙げられます。

スペインで進む転売規制とアーティストの対策

たとえばスペインでは、今年7月、政府がチケット転売で利益を得る行為を禁止する方針を示しています。さらにプラットフォームにも規制を強化し、転売を助長するサイトを閉鎖させる動きも出てきました。

アーティストやイベント主催者も独自の保護策を導入しています。ロックバンド「Radiohead」がマドリード公演で実施した仕組みでは、購入者登録と入場時の本人確認を徹底し、チケットの譲渡や転売をほぼ不可能にしました。

Radiohead/出典:Telecinco

こうした技術的な取り組みは、ブロックチェーン認証やデジタルチケット管理といった新たな越境ECプラットフォームの応用としても注目されています。

アメリカでも過熱する2026年W杯のチケット転売

アメリカでは、2026年のワールドカップをめぐってチケットの転売価格が急騰しています。一次販売の段階で完売したチケットが、二次市場で数倍の価格に跳ね上がり、公式側も再販システムの透明化に追われています。

FIFAワールドカップ2026/出典:as

国際的な大型イベントで発生するこうした問題は、日本を含む越境ECやイベント関連商材の流通設計にも影響を与えています。今後は、利用者認証や国際的な再販ルールの整備が求められます。

ファッション業界で進む「リセール=正当な転売」

日本では「転売」という言葉が、短期的な利益目的・高値売りが話題になって、「悪いもの」「後ろめたいもの」という印象を伴うことが多いです。しかし、海外、特にファッション・ラグジュアリー業界では、事情がかなり違ってきています。

BCGとVestiaire Collectiveの調査によると、二次流通(セカンドハンド)市場は年10%前後の成長率で拡大し、一般流通の約3倍のスピードで伸びています。市場規模は現在2,000億ドル超、2030年には3,000億ドル規模に達する見込みです。リセールを牽引しているのはZ世代で、彼らにとって「中古で買う」ことはもはや特別ではなく、ブランドも消費者も“再流通を前提としたライフサイクル”を受け入れるようになっています。

世代別顧客クローゼット内における購入チャネル別割合/出典:BCG

では、ファッションブランドがこの“正当なリセール(=正当な転売)”市場をどう捉え、どう動いているのか。ポイントを整理します。

①ブランドの成長チャネルとしてのセカンドハンド

リセールを「落ち目の選択肢」ではなく「新たな顧客接点」と捉える動きが強まっています。BCG調査では、66%の消費者が「リセールをきっかけにブランドを知った」と回答。価格的に新作が手の届かない層との接点にもなっています。

②信頼・認証・デジタルプロダクトパスポート(DPP)による透明化

リセール市場が拡大する中で最も特徴的なのが、「本物かどうか」「状態はどうか」「どこから来たか」という見えにくいリスクをどうクリアにするか。ここで登場するのがデジタルプロダクトパスポート(DPP)です。報告では、70%の消費者が「真贋認証があること」を、購入時に重視する要素として挙げています。

ブランド側でも、例えば時計ブランドの Rolex の認定中古制度、あるいはバッグ・アパレルのブランドがプラットフォームと提携して「中古品を公式に再流通させる」モデルを次々に打ち出しています。

③越境EC時代の“リセール=越境の鍵”としての意味

リセールは今、「国境を越える価値の再流通」として注目されています。国内で希少になった商品が海外で再評価されることも多く、ブランドが公式ルートを整えれば、越境ECでも真贋や信頼性の面で優位に立てます。

「転売・リセール=何か怪しい」という印象から一歩踏み出して、「流通・価値を再定義する正当なリセール」という視点を取り入れることで、越境ECビジネスとしての信頼性が一段と高まるのではないでしょうか。

欧米のファッション業界のこの潮流は、越境ECにおいても「単に売る」ではなく、「正しい価値を届ける」「ブランドと消費者をつなぐ」を意識したリセールモデルが今後ますます重要になるということを示しています。

「転売」と「せどり」の違いを越境ECで考える

「転売」について話すとき、「せどり」というワードもよく耳にします。どちらも“商品を再び売る”という点では同じですが、越境ECの世界ではその「姿勢」と「価値の出し方」に大きな違いがあります。

転売は、人気商品を短期的な利益目的で買い占め、市場価格を吊り上げる行為をさすことが多く、結果的に消費者体験を損ねるリスクがあります。

一方の「せどり」、いわゆる「リセールビジネス」は、仕入れや販売の過程で“価値を再発見し、届ける”ことを目的としています。検品、真贋保証、情報提供など、信頼を生み出す要素が加わることで、越境ECにおける持続可能なモデルへも進化しています。よって転売を悪と決めつけるのではなく、「どうすれば市場と消費者に誠実に向き合えるか」という視点が重要です。

最近弊社にご相談が多いのは、自ら越境ECサイトを構築したり、ECモールを開店して自社運営するのが人の問題や予算の都合などで厳しいという事例です。この場合に、日本国内の委託販売事業者に依頼して、国内取引にしておけば専任や兼任スタッフもほぼ不要、為替差損もなく海外販売をお任せできる方法がありますが、見た目では判断がつかないでしょう。

越境ECにおける「転売」と「せどり」は、どちらも“再販売”という共通点を持ちながら、その本質は大きく異なります。短期的な利益を追うだけの転売は一時的な市場混乱を招く恐れがありますが、価値を見極め、適正な情報と信頼を提供する「せどり」は、国境を越えて日本の商品価値を伝える立派なビジネスモデルになり得ます。

そして、越境ECを始める際には、必ずしも自社で全てを抱える必要はありません。国内の委託販売事業者と連携することで、負担を抑えながらも誠実で持続可能な海外販売を実現する道もあります。重要なのは、「どう売るか」ではなく、「どう信頼を積み重ねていくか」。それこそが、長く続く越境ECの成功の鍵といえるでしょう。

参考文献:
スタバ転売騒動で「メルカリ」に殺到する怒りの声…じつは規約違反すら野放しになっている実態【転売ヤー】(マネー現代)
El Gobierno prohibirá la reventa de entradas con beneficio y cerrará las ‘webs’ que incumplan(El Confidencial)
La estrategia de Radiohead para combatir la reventa en sus conciertos en Madrid(Telecinco)
La reventa de boletos para el Mundial 2026 se dispara en Estados Unidos(as)
Resale’s Next Chapter: How Fashion and Luxury Brands Can Win in the Secondhand Market(BCG)

Writer 山田彰彦

山田 彰彦 代表取締役 越境ECコンサルタント eBay JAPAN創業メンバー、ヤフー株式会社コマース事業などを経てGMOグローバルEC(旧ジェイグラブ)株式会社を創業。越境EC歴24年。イーベイ・ジャパン公認コンサルタント、ジェトロ新輸出大国コンソーシアムEC専門家、中小企業庁「新しい担い手」越境EC委員も務める。

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