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ヨーロッパ消費者の半数が秘密の買い物 — 越境ECに必要なプライバシー戦略

「自分の欲望から逃げようとする人ほど、しっかり欲望に縛られる」

これは19世紀の作家オスカー・ワイルドの言葉ですが、最新の調査が示すのは、現代でも多くの人が“欲望”を密かに満たしているという事実です。スイスのオンライン小売業者 Galaxus と調査会社 YouGov が行った調査によると、ヨーロッパの消費者の約半数(50%)が「過去12か月間に秘密の買い物をした」と答えました。

一見ユーモラスにも聞こえるこの結果ですが、越境ECや小売業にとっては決して笑い事ではありません。消費者が「秘密にしたい」と思う購入行動には、明確な理由とニーズが潜んでおり、それを理解することが競争力を生むからです。今回は、調査データをもとに秘密の買い物の実態を整理し、越境EC事業者にとっての示唆を考えます。

調査の概要

  • 実施主体:Galaxus × YouGov
  • 調査対象国:スイス、ドイツ、オーストリア、イタリア、フランス
  • 回答者数:2,651人

質問は「この12か月の間に秘密の買い物をしたか?」というシンプルなもので、結果は全体の50%が「はい」と回答し、「秘密の購買」が特例ではなく“普通の行為”であることが明らかになりました。

なぜ秘密にするのか?

主な理由は大きく二つです。

  1. 恥ずかしいから:インティメイト用品やジャンクフードなど、人に知られたくないアイテムを買うとき。
  2. 家庭内の衝突回避:パートナーに「また服を買ったの?」と言われるのを避けたい心理。

つまり、秘密の買い物は単なる「悪いこと」ではなく、人間関係の摩擦を減らすための工夫でもあるわけです。

国別に見る「秘密の買い物」事情

出典:GALAXUS
  • イタリア・オーストリア:もっとも秘密の買い物が多い。
  • フランス:最も少ない。次いでスイス。ドイツはちょうど中間に位置。

さらに国別の「恥ずかしいアイテム」傾向にも違いがあります。

出典:GALAXUS
  • フランス:インティメイト用品に寛容だが、ファストフード・お菓子には敏感。
  • イタリア:逆にチョコバーやハンバーガーを恥ずかしいと感じる人は少ない。
  • スイス・ドイツ:インティメイト用品に関しては最も秘密にしたがる。

文化背景が購買心理に直結している好例と言えます。

年齢と「隠す相手」

出典:GALAXUS
  • 30歳未満:6割(60%)が秘密の買い物経験あり。若い世代ほど「秘密率」が高い。
  • 年齢が上がるにつれ割合は減少。

隠す相手は…?

出典:GALAXUS
  • 第一位:パートナー(約60%)
  • 第二位:親

特にイタリアでは「親に隠す」割合が高めです。理由は、実家を出る年齢が他国より遅いことにあります。

秘密にされるアイテムのランキング

調査によると、秘密にされやすい商品ジャンルは以下の通り。

  1. インティメイト用品(プライベートグッズ) → 回答者の3分の1が秘密にしたいと回答。
  2. ファストフード・お菓子
  3. 衣類・靴
出典:GALAXUS

そのほか、衛生用品や医薬品も「秘密にしたい買い物」に含まれています。

越境EC事業者への示唆

出典:GALAXUS

この調査が示すのは、消費者は「匿名性」と「プライバシー保護」を強く求めているという点です。

  • オンライン購入の安心感:秘密にしたい商品は実店舗よりもオンラインで買いたい。回答者の約60%が「匿名性を理由にオンラインを選ぶ」と回答。
  • 中立的な梱包:パッケージから内容が分からないようにすることを重視する人も約60%。

たとえば、配送ラベルや梱包に商品カテゴリーが分からない工夫や、サイト上でも「シークレット配送」や「プライバシー梱包」の表記を打ち出して選択肢を増やせば、競争の激しい越境ECにおいて、顧客の信頼を得る強力な差別化要素になります。

まとめ:秘密の買い物が語る消費者心理

ヨーロッパの消費者の半分が秘密の買い物をしているというこの調査結果は、購買体験における「プライバシー価値」がますます高まっていることを示しています。

越境ECビジネスの視点でこの調査結果を見返してみると、「価格」や「商品力」だけが成功へ導くわけではないということがわかります。消費者が安心して“秘密の買い物”をできる環境を整えることもまた、リピート購入やブランドロイヤルティにつながるというわけです。

皆さんは、最近、こっそり買い物をしましたか?そして、パートナーや家族の密かな購入品には気付いていますか?越境EC事業者にとっては、「隠れ買い物」ニーズを捉えたサービス設計もまた、今後のカギと言えそうですね。

出典:Half of Europe’s shoppers make secret purchases(GALAXUS)

Writer 山田彰彦

山田 彰彦 代表取締役 越境ECコンサルタント eBay JAPAN創業メンバー、ヤフー株式会社コマース事業などを経てGMOグローバルEC(旧ジェイグラブ)株式会社を創業。越境EC歴24年。イーベイ・ジャパン公認コンサルタント、ジェトロ新輸出大国コンソーシアムEC専門家、中小企業庁「新しい担い手」越境EC委員も務める。

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