越境ECブログ

EU市場、中国セラー撤退で日本企業に追い風?

こんにちは。GMOグローバルEC株式会社の横川です。

最近、興味深い動きが出ています。
ロシア最大級ECモール「Ozon」が、中国セラーを大規模に誘致しているという報道です。
参考:Simon Huang, President of Ozon Greater China: Chinese Sellers are Flocking to Russia | Exclusive Interview

背景にあるのは、ロシア市場の成長期待だけではありません。むしろ重要なのは、

「EU市場で売りにくくなった中国セラーの受け皿になろうとしている」

という構図です。

現在、EUは越境ECに対してルール強化を進めています。背景にあるのは、中国系セラーによる“いろいろな売り方”への不満です。

極端な低価格販売、
不十分な安全基準、
VAT対応の不透明さ、
責任主体の曖昧さ。

こうした問題に対し、EUは本気で締めに入っています。

GPSR(一般製品安全規則)、
CE関連の適合性確認、
EU責任者(Responsible Person)の配置、
VAT/IOSS管理強化、
マーケットプレイス側の責任強化など、

以前までのような「とりあえず出品して、売れたら考える」というやり方が通用しにくくなっています。

そして、ここにロシアが動き出したという感じ。中国系セラーの取り込みを始めているように見えます。

もしこれが進めば、「EU市場から中国セラーがある程度減る」という現象が起きる可能性があります。

これまで日本企業は、「品質は良いのに価格で勝てない」という状況に苦しんできました。

特に中国セラーの低価格攻勢により、
良い商品でも埋もれる、
利益を削る価格競争に巻き込まれる、
というケースが大半でした。そう考えると、

「ライバルの中国勢が弱まるなら朗報では?」 と思う方も多いでしょう。

実際、一定の意味では朗報です。ただし、ここは冷静に見たほうがいいと思います。中国系セラーが「完全にいなくなる」わけではありません。中国人の商売に対する嗅覚は非常に鋭いことは以前から書いていますし、日本企業と違って決断を下すまでの時間が短く、行動も素早いです。1つのことを決めるのに1か月も時間をかける日本企業とはここが決定的に違います。なので、

強い事業者は残ります。

EU法人を作り、
現地倉庫を使い、
必要な認証を整え、
ルールに合わせて最適化する。

こうした強い中国系セラーは、おそらくこうした対応をさっさとやって、適応して生き残っていくでしょう。

つまり、「中国勢撤退」ではなく、「雑な中国勢が減り、強い中国勢が残る」という変化です。

しかし、それでも日本企業にとっては追い風です。なぜなら、

“ルールを守れる企業が有利な市場”

に変わるからです。

日本企業は、価格競争では苦戦しがちですが、

品質管理、
安全性、
表示ルール、
真面目な運営、

という点では比較的強いです。これまで「真面目すぎる」と言われていた部分が、逆に武器になる可能性があります。ただし、

追い風=勝手に売れる

ではありません。重要なのは、「品質や価格が高い理由を説明できること」です。

なぜこの価格なのか。
誰が作っているのか。
どんな技術や文化があるのか。

単なる“日本製”ではなく、「文脈(Context)のある商品」が選ばれる時代に入っています。そしてこれは、AI時代とも相性が良いわけです。AIは最安値だけではなく、「理由のある商品」を推薦しやすいからです。

つまり、EU市場の変化は、中国勢が弱まる話で終わるのではなく、「ちゃんと商売する企業が勝てる市場に変わり始めている」という話なのかもしれません。もしそうなら、日本企業にとっては久しぶりの追い風です。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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