GMOグローバルECの横川です。
心配性な人が日本人には多いということは統計的に証明されています。ゆえに、こうしたネガティブ要素を題材にしたもののほうが読まれている傾向にあります。
前回もAIによる返品詐欺について記事にしました。しかし、前回は事実を書き、人ができる対策を中心に書いていました。今回はこの詐欺的利用AIがECを大きく変えようとしています。
これまで、AIが買い物を代行する「エージェンティック・コマース」など、AIによって様変わりする未来の風景をお伝えしてきました。しかし、AIが進化するということは、良いことばかりではありません。
海外ではすでに、「AIを使った返品詐欺」への警戒が始まっています。
これまで返品の際には、「商品が壊れていた」「箱が潰れていた」といった写真が証拠として扱われることが一般的でした。しかし生成AIの登場によって、その前提が揺らぎ始めています。
例えば、商品が割れている写真や、傷が付いている画像、配送箱が大きく潰れている様子などを、AIが短時間でリアルに作り出せるようになりました。さらに、返品理由やカスタマーサポートとのやり取りまで、それらしく文章を生成することもできます。
もちろん、本当に破損しているケースも数多くあります。問題なのは、「写真があるから本物だ」と簡単には判断できなくなってきたことです。
つまり、AI時代には「写真=証拠」という考え方から、「写真はあくまで主張の一つ」という考え方へ変わっていく可能性があります。
では、EC事業者はどう対抗するのでしょうか。ここでも活躍するのは、やはりAIです。
返品履歴や購入履歴、配送情報、画像の特徴、画像に含まれるメタデータなど、複数の情報をAIが総合的に分析し、不自然な返品や詐欺の可能性を見つけ出そうという取り組みが進み始めています。
まさに「AIが作る詐欺をAIが見抜く」という構図です。この話は、エージェンティック・コマースとも無関係ではありません。
これからはAIが商品を探し、比較し、購入する時代になっていきます。そのAIは、価格やスペックだけを見るとは限りません。
返品率やトラブルの多さ、ショップの対応品質、購入者とのトラブル履歴なども、「信頼できる販売者かどうか」を判断する材料になる可能性があります。
つまり、AIに選ばれるためには、商品情報をAIが理解しやすく整備するだけでは不十分です。
「安心して取引できる販売者であること」そのものが、AIから評価される時代になるかもしれません。
日本では返品率が比較的低いため、返品詐欺を身近に感じない事業者も少なくありません。しかし海外市場では返品文化そのものが日本とは大きく異なります。今後、生成AIによって不正の手口が高度化すれば、その対策も経営上の重要なテーマになるでしょう。
AIは売上を伸ばしてくれる強力なパートナーです。しかし同時に、新しいリスクも生み出します。AI時代のECで本当に重要なのは、「AIを使って売ること」だけではありません。
「AI時代の不正から、自社と顧客をどう守るか」。
これもまた、これからのEC事業者に求められる新しい競争力になっていきます。

































