こんにちは。GMOグローバルECの横川です。
中国EC最大級のセールイベント「618」。かつては独身の日(11月11日)と並び、中国の消費を象徴する一大イベントとして、毎年大きな成長が話題になっていました。
ところが今年は、その様子が少し変わってきています。
報道によると、618期間中の流通総額(GMV)は前年をわずかに上回ったものの(0.9%増)、かつてのような大幅な成長には至りませんでした。背景には、中国経済の先行きに対する不安や、消費者の節約志向が続いていることがあると分析されています。
参考:China’s Online Sales Used to Be a Big Deal. Alibaba and Others Try to Lure Shoppers Back.
もちろん、EC市場そのものが縮小しているわけではありません。しかし、「大型セールをすれば爆発的に売れる」という時代からは、変化してきたように感じます。
これまで中国ECでは、各プラットフォームが大幅な値引きや補助金を投入し、市場シェアを競い合ってきました。消費者も「618だから買う」「セールだからまとめ買いをする」という行動が一般的でした。
しかし現在、消費者は以前より慎重に商品を選ぶようになり、本当に必要なものだけを購入する傾向が強まっています。その結果、単純な値引きだけでは購入につながりにくくなり、プラットフォーム側も価格競争だけに頼る戦略を続けることが難しくなってきました。そのため、各社は利益を確保しながら成長する方向へ舵を切り始めています。
具体的には、
・物流サービスの強化
・会員サービスの充実
・出店企業への支援
・商品品質や購買体験の向上
といった、「安さ以外の価値」で競争する動きが目立つようになっています。これは成熟市場では自然な流れとも言えます。
日本でも、かつては価格比較サイトで最安値を探すことが一般的でした。しかし現在では、「配送が早い」「返品しやすい」「安心して購入できる」といった要素が購入の決め手になることも少なくありません。中国ECも同じような成熟段階に入りつつあるのでしょう。
日本企業にとっては、この変化は見逃せません。
中国市場というと、「値下げをしないと売れない」というイメージを持つ方も少なくありません。しかし今後は、それだけでは十分ではなくなる可能性があります。
商品の品質やブランドの信頼性、丁寧な商品説明、購入後のサポートなど、総合的な価値がこれまで以上に重要になっていくでしょう。
もちろん、価格競争が完全になくなるわけではありません。しかし、それだけに依存した戦略では持続的な成長は難しくなってきています。
今回の618は、「中国ECが伸び悩んだ」というニュースとして見るよりも、「中国ECが成熟市場へ向かう転換点」と捉えた方が、本質を理解しやすいかもしれません。派手な値引き競争の時代から、利益と顧客満足を両立する時代へ。中国ECは、次のステージへ進み始めているのかもしれません。
































