こんにちは。GMOグローバルEC株式会社の横川です。
越境ECや海外向けSNSというと、どうしてもInstagramやTikTokの話が中心になります。
たしかにInstagramは強いです。
ビジュアルで世界観を伝えられますし、インフルエンサーとの相性も良い。
TikTokも動画による拡散力があります。
そして最近、PinterestがAI時代の「商品発見エンジン」としての強みをさらに強化してきたという話題がでてきました。
参考:Pinterest launches international shopping tools to help global expansion
という話を聞いても、InstagramやTikTokと比べたら、かなり周回遅れなのでは?という印象を持ったかもしれません。しかし、AI時代の越境ECという視点で見ると、Pinterestは意外と面白い存在です。それはPinterestの特徴を知ると分かります。
Pinterestの特徴は、Instagramのような「人を見に行くSNS」という性格が強いです。Instagramでは、誰が紹介しているか、どんなライフスタイルを見せているか、どれだけフォロワーがいるかが重要になりやすいところがあります。
一方、Pinterestでは、商品写真、インテリア写真、レシピ、デザイン、コーディネートなどが主役になる、「アイデアや商品を探しに行くSNS」という側面がつよいです。
つまり、誰が紹介しているかよりも、何が紹介されているかを見てもらいやすいサービスなのです。これは、日本企業にとってかなり相性が良いのではないかと思います。
日本企業、特に中小企業の場合、社長や担当者が毎日顔出しして動画を撮ることに抵抗があるケースは少なくありません(日本人はSNSのプロフィールにイラストやペットの写真などを入れている割合がめちゃくちゃ高いと言われています)。職人文化や黒子文化のように、「自分が前に出る」よりも「商品そのものを見てほしい」という感覚も強いと思います。InstagramやTikTokでは、どうしても人の魅力、発信者のキャラクター、ライブ感が求められます。もちろんそれが得意な企業であれば強力な武器になります。
しかし、すべての企業がそれをできるわけではありません。その点、Pinterestは少し違います。
- 良い商品写真を用意する。
- 商品タイトルを分かりやすくする。
- 説明文を整理する。
- カテゴリや属性をきちんと設定する。
- 利用シーンが伝わる画像を積み重ねる。
こうした地道な商品情報の整備が、発見につながりやすいサービスです。ここがAI時代と非常に相性が良いと感じます。
AIは、人間のように「このインフルエンサーが有名だから」という理由だけで商品を判断するわけではありません。商品画像、商品説明、素材、用途、サイズ、色、利用シーンなどをもとに、その商品が誰に合うのかを理解しようとします。つまり、AIもある意味ではPinterest的に商品を見ているのです。
これからのECでは、「人に見つけてもらう」だけでなく、「AIに理解してもらう」ことが重要になります。その意味でPinterestは、単なるSNSではなく、商品発見エンジンとしての性格を持っています。
特に相性が良いのは、インテリア、ファッション、コスメ、キッチン用品、食器、雑貨、DIY、ハンドメイド、文房具などです。日本の越境ECで扱う商品にも、かなり重なる分野が多いはずです。
さらにPinterestは、女性ユーザーが多いことでも知られています。
もちろん国や世代によって差はありますが、暮らし、住まい、美容、ファッション、ギフトといった分野では、購買に近い関心を持つユーザーと接点を作りやすい可能性があります。
ここまでを見ると、つい上下関係、強弱関係で捉えたくなる人間の性(さが)というものがありますが、InstagramとPinterestは、どちらが上という話ではありません。役割が違うだけです。
Instagramは、ブランドの世界観や人への共感を育てる場所。
Pinterestは、商品そのものを見つけてもらう場所。
TikTokは、瞬間的な認知や拡散を作る場所。
そう考えると、日本企業はInstagramだけに無理に寄せる必要はありません。
顔出しが苦手でも、動画発信が得意でなくても、商品写真と商品情報を丁寧に整えることで戦える場所がある。これは、AI時代の越境ECにおいて大きな意味を持ちます。
これまでSNS対策というと、フォロワーを増やす、バズらせる、インフルエンサーに紹介してもらう、という発想が中心でした。
しかしこれからは、インフルエンサー最適化だけではなく、
データ最適化 が重要になります。
- AIに理解される商品データ。
- 検索されやすいタイトル。
- 利用シーンが伝わる画像。
- 購入者が迷わない説明文。
- カテゴリや属性の整理。
こうした基本的な整備が、SNS、検索、広告、AI推薦のすべてにつながっていきます。Pinterestは、派手さではInstagramやTikTokに劣るかもしれませんが、上記の流れを考えると非常に相性の良い存在になってきています。それは、自分が顔出しするより商品を主役にしたい日本企業にとっては、現実的で、相性の良い選択肢に確実に映るからです。
AI時代の越境ECでは、声の大きい人だけが勝つとは限りません。
きちんと整理された商品情報と、魅力が伝わるビジュアルを持つ企業が、AIや検索を通じて見つけられる時代になっていく。その意味でPinterestは、もう一度見直してもよいチャネルなのかもしれません。

































