こんにちは。GMOグローバルEC株式会社の横川です。
AIがEC領域に入ってきたときに、AIを迎え撃つ側のECプラットフォーム関連ではShopifyが積極的に様々なAIとの関係を持つことを大々的にアピールしていましたので、「Shopify一強になるのでは?」という声もあったりはします。確かに、AIによる購買体験や、GoogleやChatGPTとの連携を見ていると、Shopifyの存在感は際立っています。
しかし、少し視点を変えると、もう一つ注目すべき存在があります。それがWooCommerceです。WooCommerceは実はShopifyとシェア率が同等のよく使われている越境ECツールです。
現時点ではあまり話題になっていませんが、AIとECの関係を考えると、専用の自社越境ECサイトを立ち上げるのであれば、日本企業にとっては、むしろWooCommerceの方が相性が良い可能性があります。
参考:AI & Agentic Commerce in WooCommerce
なぜか。
まず、AI時代のECでは、「サイトの見た目」が以前ほど重要ではなくなります。
これまでは、綺麗なLP(ランディングページ)を作り、広告を回し、SEOで集客することが王道でした。しかし、AIが商品を探し、比較し、推薦する時代になると、AIが見ているのはデザインではありません。
AIが重視するのは、
「どんな商品か」
「誰向けか」
「どんな用途か」
「何が他社と違うのか」
「返品条件や配送条件はどうか」
といった、“機械が理解できる商品情報”です。
つまり、
「人に見せるEC」から
「AIに理解されるEC」へ、競争軸が変わり始めています。
この点で、WooCommerceは非常に理にかなっています。WooCommerceはWordPressベースのオープンな仕組みです。自由度が高く、商品情報を細かく設計できます。
例えば、
・どんな人向けか
・利用シーン
・素材や原料
・使用方法
・他商品との違い
・ストーリーや背景
などを、細かく構造化して持たせることが可能です。
つまり、AIに対して、「この商品はどういう価値を持つのか」を深く説明する。これが今後、大きな意味を持つ可能性があります。
例えばAIに、「父の日向けで、日本製、高品質、長く使えて、少し特別感のあるギフトを探して」と聞いた時、単純な価格競争の商品よりも、背景や文脈をしっかり持った商品が選ばれる可能性が高くなります。AIは“文脈”を理解するからです。ここは、実は日本企業の得意分野でもあります。
日本企業の商品は、
「なぜ作られたのか」
「職人技」
「品質へのこだわり」
「細かな用途」
「安心感」
といった、物語や背景が強いケースが多いからです。逆に、大量生産・低価格・スペック競争だけの商品では、中国企業などとの競争が厳しくなります。
そう考えると、AI時代のECでは、「ただ安い商品」よりも、「説明すべき価値がある商品」の方が有利になる可能性があります。もちろん、現時点ではShopifyの優位性も大きいです。
Shopifyは、AIによる購買体験や決済まで含めたエコシステムを急速に整えています。簡単に始められ、運営もしやすい。
一方でWooCommerceは、設定や運営の難易度が高く、ある程度の知識も必要です。
ただ、もし今後、「AIに選ばれる商品」が重要になるならば、自由度が高く、商品文脈を深く設計できるWooCommerceが再評価される未来は十分あり得ます。
特に、日本企業のように、“こだわりは強いが、それが伝わっていない”ケースが多い企業にとっては、WooCommerceが自社越境ECの立ち上げを考える際には意外な勝ち筋になるかもしれません。
AI時代のECは、「どこで売るか」だけではなく、「AIにどう理解されるか」の戦いへ、少しずつ変わり始めています。

































