こんにちは。GMOグローバルECの横川です。
使っているかどうかはともかく、中国のAI(Deep Seek―私はこれは触ってませんw)も話題になりました。
ITの主な舞台がAIに変わり、中国ECも「AIエージェントによる買い物」を本格化させています。
Alibabaは自社AI「Qwen(通義千問)」をECに統合し、会話形式で商品検索から比較、購入、決済、配送までを完結させる構想を進めています。
参考:China’s E-commerce Giants Deploy Agentic Shopping Agents
これまでのECは、「人が検索して選ぶ」世界でした。しかし今後は、「AIが最適な商品を推薦し、人は確認して買う」世界へ移行していく可能性があります。いわゆる「エージェンティック・コマース(Agentic Commerce)」です。
日本企業がここで注意すべきなのは、「中国のやり方をそのまま真似しない」ことです。なぜなら、日本企業の多くの商品ページは、依然として“人間向け”だからです。
日本の商品説明には、
「職人が心を込めて作りました」
「こだわりの逸品」
「伝統技法」
といった情緒的な表現が多く見られます。もちろん、それ自体は悪いことではありません。しかしAIは、感性ではなく“構造”で理解します。
これから重要になるのは、
「誰に向いているか」
「どんな場面に適しているか」
「何と相性が良いか」
「どんな人には向かないか」
を明確にすることです。
海外ECでは、すでに次のような説明が一般化しています。
Best for:
→ 誰向けの商品か
Ideal for:
→ どんなシーンに向くか
Works well with:
→ 相性の良い利用方法や関連商品
Not recommended for:
→ 向いていない用途や人
日本企業は「ネガティブなことを書きたくない」と考えがちですが、海外ではむしろ誠実さとして評価されます。そしてこれは、返品防止にも極めて有効です。
「思っていたものと違った」
というトラブルの多くは、品質ではなく期待値のズレだからです。さらに、AI時代にはこの構造化がより重要になります。
AIは、「誰に向いていないか」という否定条件も重視して推薦を行うためです。一方で、中国AIに対して、「信頼できるのか?」という疑問も当然出てきます。ここは、「技術的信頼性」と「制度的信頼性」を分けて考える必要があります。
技術面では、中国AIは非常に強い可能性があります。中国はEC・決済・レビュー・物流・SNSが一体化しており、購買データ量が圧倒的だからです。
しかし問題は、「誰の利益のために最適化されるか」です。AIが本当に消費者に最適な商品を薦めるのか。それとも、広告出稿企業や利益率の高い商品を優先するのか。これは今のEC検索でも起きている問題ですが、AI化によってさらにブラックボックス化する可能性があります。
また、経済安全保障の視点も無視できません。
今後、AIが購買の入口になれば、「AIに推薦されない=市場に存在しない」という状況も起こり得ます。特定のAIプラットフォームに依存しすぎることは、
“商流の入口を握られる”
ことを意味します。
さらに、中国AIはグレートファイアウォールの影響も受けるため、中国外の独立ECサイトや英語のみの自社ECは、そもそも見えにくくなる可能性があります。
ただし、「中国製しか薦めない」という単純な話でもありません。むしろ、「中国で取引・決済・配送しやすい商品」が優先される可能性が高いでしょう。つまり、Tmall Globalや京東国際など、中国経済圏に接続された日本製品にはチャンスが残ります。だからこそ、日本企業の現実解は、
「接続するが依存しない」です。
eBay、Amazon、Shopee、自社EC、中国系モールなどを適切に分散しながら、AIに正しく理解される商品情報を整備する。
これからの越境ECは、「検索される時代」から「AIに推薦される時代」へ移行していきます。その時代に必要なのは、派手なAI導入ではありません。
まずは、「AIに正しく読まれる商品ページ」を作ること。ここが、次世代越境ECの第一歩になるのかもしれません。
































