jGrab

越境ECブログ

2026年、ECトレンドはなぜ「年2回」更新されたのか

こんにちは。GMOグローバルEC株式会社の横川です。

通常、EC業界のトレンドは年末年始に発表され、その内容をもとに1年の戦略を組み立てていきます。しかし2026年は様子が違います。年の途中にもかかわらず、トレンドが“再定義”される動きが出てきています。

まずは、最新の記事で示されている2026年の主要トレンドを簡単に整理してみます。
参考:5 eCommerce trends set to define 2026

今回提示されているのは、大きく5つの方向性です。

1つ目は、AIによるパーソナライズの高度化です。ユーザーごとに最適化された商品提案が当たり前となり、「探す」から「提案される」へと購買行動が変化しています。

2つ目は、エージェンティック・コマースの進展です。AIがユーザーの代わりに商品を選び、購入まで関与する動きが現実的なものになりつつあります。

3つ目は、検索体験の変化です。従来のキーワード検索ではなく、対話型AIによる商品発見が広がり、ECサイトへの流入構造そのものが変わり始めています。

4つ目は、オムニチャネルの進化です。オンラインとオフラインの境界がさらに曖昧になり、シームレスな購買体験が求められています。

5つ目は、信頼性・透明性の重要性です。レビューや評価、ブランドの姿勢などが購買意思決定においてより大きな影響を持つようになっています。

ここまでを見ると、「例年のトレンドの延長」にも見えます。しかし本質はそこではありません。重要なのは、これらが“未来予測”ではなく“すでに起きている変化”として語られている点です。

では、なぜこのタイミングでトレンドが再定義されるのでしょうか。

第一に、AIによる変化速度の圧縮があります。

従来、ECのトレンドは年単位で浸透していきました。しかし現在は、AIの進化によって数ヶ月単位で前提が変わります。商品検索、レコメンド、UIといったコア領域が一気に書き換えられているため、年1回の整理では追いつかなくなっているのです。

第二に、「予測」から「観測」への変化です。

これまでのトレンドは、「これから起きること」を示すものでした。しかし今は、「すでに起きていること」を整理するものへと変わっています。エージェンティック・コマースもAI検索も、もはや実験段階ではなく、現実の一部になりつつあります。

つまり、トレンドとは未来の話ではなく、「現在進行形の構造変化」そのものになっているのです。

第三に、主導権の移動です。

これまでECの入口はAmazonやeBayといったプラットフォームでした。しかし現在は、AIがその役割を担い始めています。ユーザーはAIに相談し、その結果として提示された商品ページにアクセスする。この流れが広がることで、「どこで売るか」ではなく「どこで見つけられるか」が重要になっています。

この変化は、越境ECにおいて特に重要な意味を持ちます。

まず、マーケットプレイスの役割が変わります。従来は販売チャネルでしたが、これからはAIに認識されるための“データ供給源”としての意味合いが強くなります。構造化された商品情報を持ち、外部から参照されやすい場所に商品を置くことが重要になります。

次に、BtoCの実績の価値がさらに高まります。AIは、売れている商品や評価の高い商品を優先的に推薦します。つまり、eBayなどでの販売実績やレビューは、「AIに選ばれるための証拠データ」として機能します。

そして最も重要なのは、「どこに出すか」ではなく「どう見つけられるか」という視点です。自社ECだけで完結するのではなく、AIに拾われやすい構造を意識した商品設計とチャネル設計が不可欠になります。

今回のように、年の途中でトレンドが更新される現象は、決して異常ではありません。むしろ、AIがコマースの上流に入り込んだことで、トレンドの更新頻度が「年次」から「常時」へと変わったことの表れです。

2026年は、ECの前提そのものが書き換わる年です。そしてその変化は、想像以上のスピードで進んでいます。

だからこそ今必要なのは、トレンドを追いかけることではなく、「なぜそれが起きているのか」という構造を理解することです。その理解こそが、次の一手を決めるための最も重要な武器になるはずです。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

SEARCH

CATEGORIES

MOST READ

ARCHIVE

海外販売について、まずはご相談ください

海外販売の開始・物流・自治体支援・EC出店・構築など、状況に応じて最適な提案をご案内します。