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越境ECブログ

AI時代のECは自社サイトだけでは勝てない

― むしろ、積極的なマーケットプレイス利用がますます重要 ―

こんにちは。GMOグローバルEC株式会社の横川です。

近年、ECの世界では「SEO」の次の概念として、GEO(Generative Engine Optimization)という考え方が登場しています。これは、Google検索で上位表示を狙うのではなく、ChatGPTなどの生成AIやAIエージェントに「推薦される」ことを前提に、商品ページを最適化するという発想です。

Miraklの記事では、この変化が非常に分かりやすく説明されています。
How to make your product pages visible for AI agents

まず押さえるべきポイントは、AIは人間と同じように商品を見ていないという点です。従来のECでは、魅力的なコピーや写真によって「なんとなく良さそう」と感じてもらうことが重要でした。しかしAIは、そうした感覚的な評価をしません。

AIが見ているのは、商品属性や構造化データです。たとえば、素材・サイズ・用途・仕様、SKU、価格、在庫、レビュー、配送条件といった情報です。つまりAIは、「魅力的かどうか」ではなく、「失敗しにくい商品かどうか」で判断しています。

そのため、「快適なランニングシューズ」といった抽象的な表現では弱く、クッション素材、重量、ドロップ、用途などの具体的な情報が重要になります。言い換えれば、商品ページは広告ではなく、AIが理解できるデータである必要があるのです。

この変化は本質的です。これからの商品ページは、人が読むためのコンテンツではなく、AIが推薦するための判断材料へと変わっていきます。

記事の中では、マーケットプレイスの重要性についても触れられています。マーケットプレイス戦略がない場合、AIの検索結果への出現率は約50%にとどまる一方で、品揃えや価格競争力を備えた場合には75%まで向上するとされています。

この背景にあるのは、AIが「比較できる環境」を好むという特性です。マーケットプレイスには、統一されたフォーマット、大量の商品データ、価格や在庫、レビューの標準化といった特徴があります。これにより、AIは複数の商品を横並びで評価しやすくなります。

つまり、マーケットプレイスは単なる販売チャネルではなく、AIにとって理解しやすいデータ環境なのです。

しかし、ここで重要なのは「マーケットプレイスに出せばよい」という話ではないという点です。本当に重要なのは、そのマーケットプレイスがAIフレンドリーな構造を持っているかどうかです。

AIフレンドリーなマーケットプレイスにはいくつかの特徴があります。まず、素材や用途、仕様といった属性情報の入力が設計として組み込まれていること。次に、色やサイズなどのバリエーションがSKU単位で整理されていること。そして、価格や在庫、レビューが正確に管理されていることです。

これらに共通するのは、「AIがそのまま利用できるデータになっているかどうか」です。

逆に、長文説明に依存していたり、属性が任意入力だったり、SKU設計が曖昧だったりする場合、それは人間がなんとなく理解する前提の設計であり、AIにとっては扱いにくい情報になります。

この変化によって、マーケットプレイスの役割も変わります。これまでのマーケットプレイスは集客装置でしたが、これからはAIに渡すためのデータ整形装置としての役割を持つようになります。

一方で、自社ECサイトは自由度が高い反面、データ構造が統一されにくく、属性情報が不足しやすいという課題があります。その結果、AIから見ると「孤立したデータ」として扱われやすくなります。

これを踏まえると、今後のEC戦略は次のように整理できます。マーケットプレイスを活用することは必要条件であり、AIフレンドリーなデータ構造を持つことが十分条件です。

この考え方は越境ECにもそのまま当てはまります。単に英語に翻訳するだけでは不十分で、属性、用途、比較軸を明確にし、AIに「専門的で信頼できる商品」と認識させることが重要になります。

つまり、商品ページは「売るためのページ」から、「AIに選ばれるためのページ」へと変わっていきます。

これからのECで最も重要になるのは、デザインやコピーではなく、データの構造です。そして、その構造を効率よく整えられるのが、適切なマーケットプレイスの活用なのです。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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