― 越境ECは「どこで売るか」から「どう入るか」の時代へ ―
こんにちは。GMOグローバルECの横川です。
インドネアシアは人口も多く、経済成長もしており、国民の平均年齢も若いため、将来が明るいと言っても良いと思います。しかし、現時点では物価がほとんど合わないため、そこに国際送料などを勘案すると、商売が成立しづらいというのが現状です。
参考:ジャカルタのエリート層が多い、ホワイトカラーで月収の中央値が13万円前後、インドネシア人がジャカルタで働き始める場合の月収の中央値が5.5万円、地方都市だと2~3万円くらいです。
そして、過去にも何度か書いていますが、インドネアシア政府は外資規制を強めており、越境ECもやりづらくなっています。正直、現地協力者がいないとやりにくいです。そうした一環か、中国のECを狙い撃ちするかのような政策を出してきたようです。一見すると「中国企業を締め出す動き」にも見えますが、実際はもう少し構造的な問題です。この動きは、今後の越境ECのルールを考えるうえで非常に重要なシグナルとなっています。
参考:Indonesia is sending a stronger signal on Chinese ecommerce
インドネシアが問題視しているもの
今回の規制の背景にあるのは、主に以下の3点です。
・極端に低価格な輸入商品の流入
・国内中小企業への圧迫
・不公平な競争環境
特に近年は、TemuやSheinといった越境特化型ECの急成長があり、
「低価格 × 大量流入 × 直送」
というモデルが急速に広がりました。
「中国系EC」とは何を指すのか
ここで重要なのは、「中国系EC」という言葉の意味です。これは単純に「中国企業のマーケットプレイス」だけを指しているわけではありません。実態としては、次の3層に分けて考える必要があります。
① 中国本土発の越境EC
AliExpress、Temu、Sheinなど。 → 規制の直接ターゲット
② 中国資本が関与する東南アジアEC
Lazada、Shopee。 → 国籍ではなく「サプライチェーン依存」が論点
③ 中国セラー・中国製品の流入
各プラットフォームに出店する中国セラー(OEM/ODM商品) → ここが“本丸”
規制の本質は「国」ではなく「モデル」
今回の動きの本質は非常にシンプルです。中国だから規制されているのではなく、
「超低価格 × 直送 × 大量流入」
というモデルそのものが規制対象となっています。
なぜマーケットプレイス規制だけでは不十分なのか
仮に特定のプラットフォームを規制しても、
・別のマーケットプレイスに流れる
・他のルートから商品が入る
という現象が起きます。つまり、問題はプラットフォームではなく、供給構造にあります。
各国が進める規制の方向性
このため、規制はより本質的な領域に向かっています。
■ 価格規制
一定価格以下の商品を越境ECで販売禁止 → 低価格大量モデルを直接抑制
■ 輸入・関税規制
免税枠の縮小・関税強化 → プラットフォームを問わず影響
■ ローカル化(現地化)
現地法人、現地在庫、国内配送 → 越境ECを「国内EC化」
LazadaやShopeeはどうなるのか
ここが実務的に重要なポイントです。これらのプラットフォームは完全排除されるわけではありません。理由はシンプルで、
・雇用を生む
・税収が取れる
・インフラとして必要
だからです。ただし今後は、中国直送モデルは規制され、現地在庫・現地運用は優遇される、という形にシフトしていきます。
越境EC事業者にとっての意味
この流れが意味することは明確です。
■ 安さだけでは勝てない → 価格競争モデルは政策リスクが高い
■ 「どこで売るか」より「どう入るか」
どのモールで売るかが重要 → 物流・関税・在庫設計が重要
さいごに
国をターゲットにすると、国際問題に波及するので、事実上特定の国をターゲットにしていても制度上はそうではないように見せることを世界中が苦労して考えています。
関税をいじくるというのはわかりやすいですが(アメリカだけでなく、EUでも今年の7月からデ・ミニミス廃止で関税がかかります)、「一定価格以下の商品を越境ECで販売禁止」という案も面白いですね。


































