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今後施行されるEUのデジタル・プロダクト・パスポート法にはeBayが有利

2026年から2030年にかけて段階的に施行されていくEUのデジタル・プロダクト・パスポートですが、これは「デジタル・プロダクト」と「パスポート」の間に意味的な区切りをつけるとデジタル製品にのみ関係する法律と解釈できてしまいますが、正しくは「プロダクト」に「デジタル・パスポート」をつけるというものなので、ゲームやソフトウェアなどのデジタル製品だけでなく、物理的商材にも適用されていきます。

この規制は、製品のライフサイクル全体にわたる包括的な情報をデジタルで記録・管理する仕組みで、具体的には、製品に固有の識別子(QRコードやNFCチップなど)を付与し、それを読み取ることで、以下のような情報にアクセスできるようにするというもので、

目的は、

  • 循環型経済の推進::製品の長寿命化、再利用、修理、リサイクルを促進し、資源の効率的な利用と廃棄物の削減を目指す。
  • 透明性の向上::消費者や企業が製品に関する信頼性の高い情報を入手できるようにし、より持続可能な選択を可能にする。
  • グリーンウォッシュの防止::製品の環境性能に関する誤解を招くような表示(グリーンウォッシュ)を防ぎ、真に持続可能な製品が評価されるようにする。
  • サプライチェーンの可視化:サプライチェーン全体における製品の移動や情報の流れを追跡し、トレーサビリティを向上させる。
  • コンプライアンスの確保::EUの環境規制への準拠を支援し、税関当局による輸入製品のチェックを効率化する。

というものです。日本でも食品の一部で行われている、生産者情報をネットを通して確認できる仕組みに似ています。当面は、鉄鋼、アルミニウム、繊維製品(衣類、履物など)、バッテリー、家電、電子機器、建設製品、家具、プラスチックなどが優先的に検討されています。

EUへ販売する場合は日本企業も以下の情報を整える必要があります。

  • 製品の基本情報:製造者、製造場所、モデル、シリアル番号など。
  • 素材構成:使用されている原材料の種類、組成、原産地、含有化学物質など。特に、リサイクル性や有害物質の有無に関する情報。
  • 製造プロセス:製造時のエネルギー消費量、CO₂排出量、水資源使用量など。
  • 耐久性・修理可能性:製品の保証された寿命、技術的寿命、平均故障間隔、修理・交換可能な部品の有無、修理方法、スペアパーツの入手可能性など。
  • リサイクル性・廃棄情報:製品のリサイクル方法、分解のしやすさ、使用済み製品の回収・リサイクルに関する情報、生成される廃棄物の量など。
  • 環境フットプリント: 製品ライフサイクル全体における環境負荷に関する詳細データ。
  • 社会的影響:従業員の労働条件、職場の安全、公正な賃金など、サプライチェーンにおける社会的な側面に関する情報(も含まれる可能性がある)。

そして、義務化された製品カテゴリでは、EUが定める共通のデジタルフォーマット(例: PCDS)に基づいて、上記情報を登録する必要があります。登録された情報は、製品に付与されたデジタルキャリア(QRコード、NFCチップなど)を通じてアクセスできるようにせよ、とあります。

ここで疑問となるのは、「EUが定める共通のデジタルフォーマット」という表現で、こうした表現を見る限りでは、特定の統一された「登録サイト」や「認証機関」が存在し、何らかの手続きを経ないといけないような印象を持ちますが、そうしたものが完全に稼働してはいません。

現段階、そして将来的に見ても、各企業が自身の努力で必要な情報を管理し、それをデジタルキャリア(QRコードなど)を通じてアクセスできるようにするという方向性が、EUのデジタル製品パスポートの基本的な考え方のようです。

したがって、公開する情報の種類や範囲の違いはありますが、運用方法としては日本の特定商取引法に基づく表示が持つ「消費者への情報開示」のやり方と同じで、各社で専用ページを持ち、そのページにアクセスできるQRコード等を商品に付すというやり方で良さそうです。


eBay、EUのデジタル製品パスポート義務化に好機を察知

参照:eBay Smells Opportunity in EU’s Digital Product Passport Mandate

今後数年間で、EU諸国で販売される製品にはデジタル製品パスポートが必要になるが、eBayは2023年にイタリアのCertilogo社を買収しており、準備が整っているだけでなく、チャンスを感じている。


おわりに

上述のように、この規制の対象製品に繊維製品(衣類、履物など)があるので、アパレル関係は今から準備しておく必要があります。しかし、上記記事にあるようにeBayは冒頭に書いたようにデジタル認証サービスを提供するイタリアのCertilogo社を2023年に買収しているので、このCertilogo社の仕組みを利用することでセラーの対策を簡易化できるのではないかという読みをもっており、この規制が本格運用されるようになったときに非常に有利になると記事は結んでいます。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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