こんにちは。ジェイグラブの横川です。
インターネット黎明期にオンラインはオフラインより7倍スピードが速いとよく言われていたということをここではよく書いてきました(故に、日本企業のノロノロ決断力は、その時点で負け決定だから意識を変えろといい続けていたわけです)。
単純比較はできませんが、以下をみればスピードの違いが実感できると思います。
・日本は1955年に高度経済成長期に入り、1991年にバブルが弾けて本格成長鈍化に突入しました。この間36年間です。
・中国は1992年以降に急成長を始め、世界の工場と言われるようになり、2010年代中盤に鈍化し始めました。
日本はインターネットと無縁な時期に36年間で一つの弧を描きました。中国は成長途中からインターネット時代に突入し、急激なスピードの波にさらされたこともあって、日本の6割弱という短期間のうちに弧を描ききってしまいました。
上述の日中比較は経済力全体の話ですが、いかにインターネットがスピードの速い世界かということが実感できると思います。そんなことを感じさせるニュースが本日の東南アジアECの話です。2015年頃から本格化したASEANのECが10年で急成長期を終え、安定期に入ったということです。
東南アジアの電子商取引プラットフォームの流通総額成長率は鈍化
東南アジアのECプラットフォームの総流通総額(GMV)は、主要プラットフォームがより合理的で持続可能な軌道に注力したため、2024年に前年比12%の緩やかな成長率で推移した。
コンサルティング会社モメンタムワークスは6月26日(木)に発表した報告書の中で、2023年の15.2%成長からは減速するものの、ECプラットフォームのGMVは前年の1146億ドルから2024年には1284億ドルに増加すると予測した。
同社はさらに、インフラが成熟するにつれ、「効率性、顧客体験、サービスレベルがエコシステムにとってより大きな焦点となっている」と付け加えた。
GMV の推定は、Shopee、Lazada、Tokopedia、TikTok Shop、Bukalapak、Tiki、Blibli、Amazon.sg での取引のみを対象としています。
報告書によると、成長率の鈍化にもかかわらず、東南アジア諸国のほとんどは前年比で二桁の増加率を達成しており、タイとマレーシアが同地域の電子商取引のGMV拡大の主な原動力となっている。
タイはGMV(流通総額)の増加率が最も高く、2023年の193億米ドルから翌年には235億米ドルへと21.7%増加する見込みです。マレーシアは2番目に高い成長率を記録し、2023年の96億米ドルから2024年には115億米ドルへと19.5%増加する見込みです。
一方、シンガポールはGMV成長率が12%と2番目に低く、2023年の44億米ドルから2024年には49億米ドルに増加する見込みだ。
インドネシアのGMV成長率は前年比わずか5%と最も低く、2023年の538億米ドルから2024年には565億米ドルに拡大する見込みだ。
減速にもかかわらず、インドネシアは2022年の52%から2024年には同地域のプラットフォームGMVの44%を占め、東南アジア最大の市場であり続けるだろう。
モメンタム・ワークスは、市場の統合によりその間の成長は鈍化したと指摘した。
電子商取引大手のShopeeは、2024年には地域市場シェアを前年の48%から52%に拡大しました。インドネシアを除く東南アジア全域で50%以上の市場シェアを獲得しており、インドネシアでは46%のシェアを占めています。
TikTok Shopは、この地域でGMVベースで2番目に高い市場シェアを保持しました。
レポートでは、TikTok Shopは市場シェアを拡大したものの、売上高の伸びは前年に比べて鈍化したと付け加えている。これは戦略の意図的な調整によるものだという。
報告書ではまた、TikTok Shopと、TikTok Shopが2023年12月に買収したTokopediaのバックエンド統合が完了したことにも言及し、「その結果、TokopediaはGMVを人為的に高める必要がなくなった」と述べている。
報告書によると、ラザダはGMVでこの地域で第3位の市場シェアを保持していた。
「2024年初頭の大規模な再編を経て、ラザダはEBITDA(利子・税金・減価償却前利益)の黒字を達成し、GMV(流通総額)と地域市場シェアを安定させました。」
地域トップ3プラットフォームであるShopee、Lazada、TikTok Shop(Tokopediaを除く)を合わせると、インドネシアを除く全市場で90%以上のシェアを獲得した。
モメンタム・ワークスは、東南アジアのトッププラットフォーム間の競争は投資収益率に重点を置いた共存へと移行したと指摘した。同地域の電子商取引小包取扱量は米国とそれほど差がないとも付け加えている。2024年、東南アジアでは1日平均4,360万個の荷物が発送され、これは米国の1日あたり6,130万個に近く、1日あたり約1,500万個の荷物を発送するインドを大幅に上回ります。
「中国の4億7800万人にはまだ遠く及ばないものの、この地域の電子商取引部門はすでにかなりの規模で運営されている。」
このレポートでは、2024年には東南アジアにおいて主要プラットフォーム以外で約168億米ドル相当のGMV(流通総額)の取引が行われると指摘されています。これは、Momentum Worksがプラットフォーム外のeコマースを追跡した初めてのケースです。
これには、Facebook、brand.com、複数ブランドを扱う小売サイトなどのオープンループのソーシャル プラットフォームで発生した取引や、WhatsApp などのチャット プラットフォーム経由で行われた注文が含まれます。
この地域の電子商取引の総額GMVは、非プラットフォームGMVを差し引いた後、約1,452億米ドルに達した。
「プラットフォームGMVは依然として東南アジアの電子商取引の大部分を占めている」とモメンタムワークスは指摘している。
参考:S-E Asia’s e-commerce platform gross merchandise value growth rate eases: report
まとめ
成長率は安定期に突入するが、総額そのものはまだ伸びると結論付けられていますので、大きく魅力的な市場であることには変化はないようです。
しかし、東南アジアは昔からモザイクだと言われるように国ごとに特色が違いすぎていて十把一絡げに把握するのは危険です。ASEANは成長しているとはいえ、データを深堀りすると、まだまだ日本企業の商品をECで勢いよく買ってくれる土壌が出来上がっているとは考えにくいです。
データがなかなか公開されないので、断片的な情報になりますが、Shopeeなどは年々低価格帯の商品にシフトしている傾向があり、インドネシアでは平均販売単価が10米ドルを下回るケースが増えているようです。こうなってくると、日本企業で勝負できるところはほぼないでしょう。
一方で、シンガポールは185シンガポールドル(約137.4米ドル)なので、ここなら商売は成立しやすいかも知れません。またマレーシアの平均月収などは日本に肉薄してきていますので、マレーシアも狙えるようになっているかも知れません。

































