こんにちは。GMOグローバルEC株式会社の横川です。
エルサレム・ポストという媒体の記事に「Israeli overseas online purchases plunge during Iran war(イラン戦争中、イスラエル人の海外オンライン購入が急減)」という物がありました。
ロシアとウクライナの戦争は5年目に入りました。そして、泥沼化が懸念されているのがイスラエル&アメリカとイランの戦争です。
越境ECは、海外情勢に大きく影響されます。そのため、越境ECを行うのであれば、国際ニュースも見ておく必要があるということはセミナーで話しています。
幸い日本は直接的に戦火に巻き込まれていないので、心のどこかで他人事のように考えてしまいがちですが、戦争当事国の人にとってのECとはどういうものなのかを知るのに良い内容だと思えたので要約して紹介します。
イスラエルの記事を引用しますが、特にイスラエルを支持しているとか、そういうわけではありません。
イラン戦争中、イスラエル人の海外オンライン購入が急減
戦争で越境ECは止まるのか?イスラエル事例から見えた「売れなくなる理由」の本質
イスラエルとイランの戦争を契機に、イスラエル国内のEC購買行動に大きな変化が起きた。海外の主要ECサイトからの注文は約52%減少。一方で、イスラエル国内のECサイトへの注文は平均23%増加したと報じられています。
この数字だけを見ると「景気が悪くなって消費が落ちた」と考えがちですが、実際にはそうではありません。起きているのは、「需要の減少」ではなく「購入先のシフト」です。
つまり、人々は買うことをやめたのではなく、「海外から買うのをやめて国内で買うようになった」ようです。
では、なぜこのような変化が起きたのでしょうか。
第一に、物流の不安定化です。
戦争によって空輸や配送の遅延、通関の不確実性が高まり、「商品がちゃんと届くかどうか」が大きな不安要素になります。
越境ECは価格や商品力よりも、「確実に届くこと」が前提条件で成り立っているため、この前提が崩れると一気に需要が離れます。
第二に、心理的な安心感の変化です。
有事においては合理性よりも安心感が優先されます。
海外から届く商品よりも、国内で買えるものの方が「確実」「安全」と感じられやすく、購買行動が国内に寄ります。
第三に、決済や為替、政治リスクです。
クレジットカード決済への不安や為替の変動、国際関係の緊張なども、海外ECを避ける要因になります。
ここで重要なのは、「売れなくなった」のではなく、「買われる場所が変わった」という点です。この視点を持つと、日本企業の越境EC戦略にも大きな示唆が見えてきます。
まず明確なのは、越境ECで特定国一本に依存する戦略のリスクです。
越境ECは平時においては非常に強力ですが、有事には一気に脆弱になります。そのため、重要なのは「越境ECで売ること」ではなく、「現地でも売れる構造を作ること」です。
例えばAmazon FBAなど(アメリカも紛争当事国ですが、いまは戦火にまみれていないので、イスラエルと比較する必要はありませんが)。つまり、「日本から売る」のではなく、「現地の国内ECに入り込む」という発想も必要な時が来るかもしれません。
また、商品カテゴリーの変化にも注目すべきです。
今回のイスラエルでは、椅子やマットレス、家具などの「生活維持・在宅強化」系の商品が大きく伸びたと報じられています。これは、有事においては嗜好品よりも「生活を安定させる商品」が優先されることを意味します。
日本企業に当てはめると、生活改善、健康、日用品、ストレス軽減といった分野が強くなる一方で、贅沢品や趣味性の高い商品は相対的に弱くなる可能性があります。
さらに重要なのは、競争の軸が変わることです。
平時は価格競争ですが、有事では供給競争になります。
どれだけ安いかではなく、「どれだけ早く確実に届けられるか」が勝敗を分けます。
つまり、越境ECにおいて本当に重要なのはSEOや広告ではなく、物流設計です。最後にまとめると、今回の事例から見える本質はシンプルです。越境ECは「需要」で崩れるのではなく、「供給」で崩れます。
したがって戦略としては、
平時に越境ECで市場テストを行い、
有事に現地ECで売上を回収できる構造を作ることが重要です。































